AV業界を徹底解剖!AV業界の組織や人々
最近、AV業界に対して風当たりが強くなってきています。
よくある批判は、AV業界は怪しい人間や悪い人間も多く、AV女優たちはセックスを強要されているというものです。
はっきり言って、いつの時代のことをいっているのやらと、業界の事を知る人間から言わせればあきれるばかりです。
AV女優が関わっていく組織や人々というのは、そのような怪しいものでは決してないのです。
本稿では、AV女優が活動していくにあたり、接していく組織と人々を解説していきます。
見出し
AV業界では組織・人が絡んでいる
AV女優になって稼ぐということを考えた時、どうしても主観的な見方に陥りがちで、そこにどのような組織や人が絡んでいるのかということまでなかなか考えられないものです。
あるいは、そのような情報があまり出回っていませんから、考えようがないという部分もあるでしょう。
AV女優としての仕事を始め、様々な活動をしていくときには、様々な組織や人々が絡んでくるものです。
しかし、これはなにもAV女優に限ったことではありません。
多くの人は会社という組織に勤めますが、そこでは上司、同僚、部下、取引先など、様々な人が絡んでくるのです。
私のように、特定の組織には所属せず、フリーランスとして一人で仕事をしている人間にしても、やはり取引先の人とかかわっていくわけで、どのような仕事においても、自分一個で完結するということはありません。
AV女優にしても、AVというコンテンツを制作していくにあたり、色々な組織や人々とかかわっていきます。
AV制作では、単一の大きな組織がすべての業務をこなしているのではなく、複数の組織に業務が分散されたうえでAVが出来上がっているのです。
このように書けば、AV女優という仕事に興味を持っている人は、果たしてどのような組織や人々と関係していくのか、気になることでしょう。
中には、AV業界にはヤクザなどの裏社会の人間がたくさんいて、AV女優たちはそのような人たちともかかわる必要があり、セックスを強要されているというようなイメージを抱く人もいることでしょう。
しかし、そんなことは全くありません。
まず、AV女優として活動していくにあたり、活動開始時点から引退まで絶えず接触し続ける組織は、そのAV女優が所属するプロダクションです。
そして、自分を担当してくれるマネージャーこそが、AV女優をしている限りずっと付き合い続ける人間と言えます。
ほとんどのAV女優は、プロダクションに所属することによってAV女優としての活動を開始するため、最初に関係する組織と人は、プロダクションとマネージャーなのです。
その次に関係する組織と言えば、AVの企画をしているメーカーと、実際に企画やキャスティングにあたるプロデューサーです。
メーカーとプロデューサーは、AVの企画とAV女優のキャスティングの権限をもっているため、いくらAV女優がAVに出演したいと思っても、彼らの構想や企画、キャスティングの方針から外れてしまうと、出演することは不可能です。
そして、メーカーはプロデュースから販売までを手掛けています。
しかしながら、AV女優とメーカーの接点はそれほど多くはありません。
なぜならば、メーカーに面接に行ったりして接点を持つことはあるのですが、実際に制作をするのは別の制作会社ということが多いからです。
そこで、最後に挙げられる組織と人間は、作品の撮影をする制作会社と、制作の指揮を取る監督です。
AV女優としての主な業務は、AVに出演することなのですが、それに直接的にかかわってくるのが制作会社と監督です。
継続的な付き合いというわけではありませんが、撮影現場では何時間も一緒に仕事をするわけですから、出演の際にはかなり親密な関係となります。
また、同じ制作会社や監督の作品に複数出演することもあるのですから、やはり浅からぬ関係と言えます。
AV女優の活動を一通り見てみると、上記の組織や人以外にも、色々な接点があることでしょう。
例えば、AVの制作現場では、監督以外にも助監督、AD、カメラマン、ヘアメイク、AV男優などと接点を持つことになります。
他にも、AVをリリースするにあたり、その販促のためにDVDショップで握手会などのイベントを開く場合には、当然ながらそのショップのスタッフと接点を持つことになります。
しかしながら、大まかに言えば大体上記のような組織・人間と関係していくことになります。
では、それらをより具体的に見ていくことにしましょう。
プロダクション・マネージャー
まず、プロダクションとマネージャーとの関係を見ていきましょう。
ほとんどのAV女優は、プロダクションに所属しています。
“ほとんど”と書いたのは、まれにフリーのAV女優がいるからです。
ただし、フリーのAV女優にしても、その多くは特定のプロダクションで長期的に活動し、その後独立するという形でフリーに至っています。
AV女優・プロダクションの関係
では、プロダクションとはどのような組織なのでしょうか。
簡単に考えるならば、芸能プロダクションと同じようなものと考えて差し支えないでしょう。
世の中には多くのプロダクションがあり、それぞれのプロダクションの性質に応じて、モデルや歌手、俳優、お笑い芸人などを所属させ、テレビ番組、雑誌、ドラマ、映画、イベントなどに斡旋しています。
AVプロダクションもこれと同じようなもので、AV女優のマネージメントを行なうのがAVプロダクションなのです。
プロダクションの社員は、大手プロダクションでも10人くらいのものです。
プロダクションによっては、ホームページの運営などのために社員を雇うことがありますが、多くの場合はすべての社員がマネージメント業務をこなしています。
社長でさえもマネージメント業務を行いながら、プロダクションを運営していくのが一般的です。
全国には多くのプロダクションがありますが、その多くは都内に事務所を構えています。
都内の事務所においてAV女優になりたい女性、AV女優のスカウトを受けた女性などの面接もしますし、宣材の作成も行われます。
このほか、社員の打ち合わせをはじめとしたさまざまな業務に利用されるのはもちろんのこと、地方在住のAV女優が、仕事の時だけ上京して撮影するような場合、撮影前日から事務所に泊まることもあります。
そのため、プロダクションの事務所はそれなりに広いのが普通です。
あるプロダクションの実例を挙げるならば、東京都心部の3LDKマンションの一室を借りて事務所としています。
このプロダクションは大手ではなく中小なので、この規模でも問題なく運営されています。
この間取りの事務所に社長と4人のマネージャーがおり、一室をAV女優の宿泊所に利用しています。
リビング部分が共有の仕事スペース、一室を面接その他に利用、一室を会議その他に利用、一室をAV女優の宿泊所に利用しています。
プロダクションの仕事は、上記の通りAV女優のマネージメントなのですが、もう少し突っ込んだ言い方をすれば、プロダクションはAV女優が活動するにあたって、その一切の責任を負う組織であると言っても良いでしょう。
したがって、AV女優になりたいと考える女性は、なによりもまずプロダクションのホームページから応募するなどして面接を受け、ルックスとスタイルの確認、年齢を含めたプロフィールの確認などを通して、プロダクションが採用するかどうかを決めます。
そして、AV女優が申告したプロフィールに嘘があり、メーカーなどの他の組織が被害を被った場合には、その全責任をプロダクションが負うことになります。
例えば、未成年はセックス産業で働くことを法律で禁止されていますが、まれにみ青年であるにもかかわらず、姉の身分証明書などを利用して面接を受け、AV女優になろうとする女の子がいます。
そのようなことが後で発覚すれば、メーカーは摘発を恐れて、すでに制作した作品を販売停止などにし、甚大な損失を被ることになるのですが、そのときの損害賠償などはAV女優個人に対してではなく、プロダクションに向けられることになるのです。
マネージャーを含めた関係
AV女優が、活動期間を通じて最も長く仕事を共にするのは、プロダクションのマネージャーです。
仕事をするにあたっては、なんにせよマネージャーが関わってくるので、かなりの時間と日数に渡って関係することになります。
実際、AV女優がメーカーで面接をする際にはマネージャーが同行しますし、新人期間中には撮影現場にも同行します。
また、グラビア撮影や握手会・撮影会などのイベントにも同行します。
AV女優が慣れてくると、マネージャーは撮影の際には集合場所までしか同行しなくなるものですが、それを除いても多くの時間を共にすることになります。
ならば、AV女優は撮影現場の人以外にも、マネージャーに裸やセックスを見られるのか、と思うかもしれません。仕事仲間とはいえ、最も近い人に裸やセックスを見られてしまうのは、どうも気まずいことです。
しかし実際には、AV業界の慣習として、マネージャーが撮影現場に同行した場合にも、別室で待機して裸やセックスは見ないものです。
メーカー面接でも裸になる機会がありますが、その時もマネージャーは廊下や別室で待機します。
したがって、AV女優が生の裸を見られるのは、撮影現場のスタッフやメーカーのプロデューサーだけということになります。
本稿では、AV女優として活動する上で関係していく様々な組織と人を紹介していきますが、AV女優が個人的に連絡を取れるのはプロダクションとマネージャーのみです(もちろん、撮影現場でメイク担当者と友達になって、連絡先を交換した場合などは除きます)。
したがって、活動の方向性をこのようにしたい、これこれの理由で出演本数をすこし減らしたい、お金に困っているがどうにかならないか、現在地方在住だが東京に引っ越して本格的に活動したい、引退しようと思っているなど、活動に伴う様々な相談事は、プロダクションの社長やマネージャーにすることになります。
その結果、AV女優とマネージャーは、時にプライベートを含めた会話をするため、気心の知れた良い人間関係を築いていることが少なくありません。
転居や結婚といった相談は、AV女優としての活動と無縁ではないものの、プライベートな要素が強い相談ですが、それでもプロダクションやマネージャーはかなり友好的に相談に乗っています。
例えば、地方在住で、撮影の時だけ上京していたAV女優が、人気が出てきたため上京して本格的に活動したいという希望を持っていれば、転居に協力します。
AV女優という仕事をしていれば、賃貸契約が難しいことが多いのですが、プロダクション名義でマンションを借りているAV女優もたくさんいます。
また、結婚のために引退するなどと言えば、プロダクションは何としても阻止してくるようなイメージがありますが、それはイメージの中だけのことです。
そのような引退の相談でも、仲の良いマネージャーに相談するなどして、問題なく引退しているのが普通です。
仮にメーカーとの契約期間が残っている場合でも、プロダクションを通じて引退表明することによって、契約を中途解約して引退できることがほとんどです。
このほかのプライベートな要素として、シングルマザーのAV女優が事務所に子供を預けて撮影に出向くこともありますし、急な出費で困っている場合には、プロダクションからギャラを前借することもできます。
このように、プロダクションの仕事は、単にAV女優の活動のマネージメントというよりは、もっと広い範囲にわたってのマネージメントであり、プライベート管理もプロダクションの重要な仕事となっています。
かなり友好的な関係を築いている場合には、引退後の就職の相談や、結婚の相談をプロダクションにするというAV女優もいるほどです。
したがって、プロダクションとマネージャーは、AV女優にとっては広い範囲にわたって面倒を見てくれる存在なのです。
この意味でも、AVプロダクションは芸能プロダクションと似ていると言えるでしょう。
ちなみに、担当マネージャーといえば、AV女優ひとりにつき決まったマネージャーが就くように思えるかもしれませんが、そうではありません。
プロダクションで働くマネージャーと、所属するAV女優の比率から考えてみても、そのことは明らかでしょう。
そのため、プロダクションで働く数人のマネージャーが、それぞれ複数のAV女優のマネージメントを担当することになります。
担当するAV女優が多忙になるタイミングでは、別のマネージャーに面接や現場に同行してもらうことになります。
つまり、それぞれの仕事ごとにマネージャーが振り分けられるといった形になるのです。
もちろん、マネージャーも定年までそのプロダクションに所属するわけではありませんから、AV女優の活動途中で担当マネージャーが退社したり、新人マネージャーが入社したりなどして、マネージャーが変わることもあります。
しかし、基本的にAV女優たちはプロダクションの全てのマネージャーと面識があるため、それほど問題にならないことがほとんどです。
ギャラとプロダクション
AV女優はプロダクションに所属して働くのですから、ギャラもプロダクションから受け取ることになります。
ギャラの流れとしては、まず撮影を終えるとメーカーからプロダクションに出演料が支払われ、その中からプロダクションがマネージメント料と源泉徴収の10%を差し引き、残りがAV女優に支払われることになります。
多くの場合、AV女優の最終的な取り分は出演料の40%程度になるのが普通で、優良プロダクションになるとそれ以上ということもあります。
ある大手プロダクションの実例を見てみましょう。
このプロダクションは、AV女優の取り分を折半としています。
そのプロダクションに所属する売れっ子AV女優は、特定のメーカーと専属契約を交わしており、1本の出演につき250万円の出演料が支払われています。
このとき、撮影が終わってメーカーからプロダクションに250万円が支払われると、まず半分に当たる125万円がメーカーの取り分となり、残る125万円の10%にあたる12万5000円が源泉徴収として差し引かれ、AV女優には112万5000円が支払われます。
プロダクションとAV女優の間で、それぞれの取り分をどれくらいにするかということは、プロダクションごとの方針によって異なります。
折半としているものの、メーカーから支払われた出演料の中から様々な名目で差し引き、その上で折半としているため、実際にはAV女優の取り分が出演料総額の40%程度になることもよくあります。
例えば、同じ出演料250万円でも、最初にスカウト料などの名目で10%すなわち25万円を差し引き、残る225万円の半分に当たる112万5000円をマネージメント料としてプロダクションが取り、そこから10%の源泉徴収を差し引いて、最終的なAV女優の取り分は101万2500円となることもあります。
つまり、プロダクションが折半としているならば、出演料250万円の場合には125万円もらえると思うかもしれませんが、実際には40.5%の受け取りになるということです。
ちなみに、「出演料の〇%があなたの取り分」などと説明するプロダクションはありません。
これは、自分の取り分のパーセンテージをAV女優に公開してしまうと、他のプロダクションの方が取り分が良い場合に不満が生まれてしまうからです。
したがって、どのプロダクションでも取り分を伝えず、またどのメーカーでもAV女優本人には出演料を伝えず、「これこれの作品で、ギャラは〇万円だけど、どう?」と言った形でしか伝えられないのが、AV業界の通例になっています。
AVメーカーとプロデューサー
AV女優のメインとなる仕事は、言うまでもなくAVへの出演です。
では、出演するAVの内容は、どのように企画されているのかといえば、それはAVメーカーの仕事となります。
細かく言えば、メーカーに所属するプロデューサーその他の社員が、企画に合ったAV女優をキャスティングし、制作し、販売するのがAVメーカーの役割です。
といっても、実際の制作自体は、制作会社に委託することがほとんどであり、AVメーカーの主要な役割は作品のプロデュースです。
そのプロデュースにあたって、メーカー社員やプロデューサーが、AV女優のキャスティングと、撮影の実行の決定権を持っていると考えると良いでしょう。
つまり、AVメーカーなくしてAVなしということであり、メーカーの決定がなければ、AV女優はAVに出演することはできません。
AVメーカーってどんなところ?
メーカーは、AV業界の組織の中でも形態も規模も特に様々です。
大手メーカーになれば、高層ビルにオフィスを構えており、社員には一流大学出身者がそろっており、優秀な人材によって企画とキャスティングが行われています。
一方、中小のメーカーになると、一等地にオフィスを構えるだけの資金がありませんから、都内でも二等地以下の雑居ビルにオフィスを構え、社員も数名で運営されています。
また、大手メーカーのように、これも資金的な理由から一流の女優と専属契約を交わすことができず、したがってメジャーなジャンルで競争すれば生き残れない確率が高いため、ニッチなジャンルでコアな視聴者に向けた作品を制作していることが少なくありません。
小規模なメーカーであればあるほどこの傾向が強く、SM、スカトロ、デブ専などのマイナージャンルを制作しており、なおかつメーカーが制作会社を兼ねていることもよくあります。
その場合、プロデューサーと監督が同一ということもあります。
AV女優とプロデューサーの接点
大手と中小とを問わず、メーカーとプロデューサーはAVを企画し、AV女優をキャスティングし、制作会社に制作を依頼する(あるいは自社で制作する)ことが主な業務となっています。
したがって、AV女優の斡旋によって出演料を得ているAVプロダクション、そしてAVに出演することによってギャラを得たいAV女優は、メーカーを訪問してプロデューサーに営業をかけることになります。
そこで、プロデューサーが良しとしたならばキャスティングされる可能性が出てくるのです。
このため、AV女優がプロデューサーと接点を持つのは、メーカーへの営業活動がメインとなります(ちなみに、ごく一部の超有名女優になると、プロデューサーのほうから直接依頼がされるため、営業活動に出向かないこともあります)。
上述の通り、AV女優とプロダクションはかなり踏み込んだ関係になることがよくあります。
また、制作会社の監督やスタッフにしても、撮影を通じて親密な間柄になるものです。
なにしろ、裸やセックスを通した関係なのですから、おのずと親近感も湧いてくるのです。
しかし、メーカーの社員やプロデューサーは、メーカーへの面接で接点を持つことはあり、またパッケージの撮影などの際にプロデューサーが同席することもありますが、接点はそれくらいのもので、限られた間柄と言えます。
別の観点から言えば、プロデューサーの決定によってAVへの出演が決まるのですから、AV女優とプロデューサーは親密な関係というよりも、媚びを売るべき対象にもなり得ます。
ちなみに、プロデューサーとAV女優の親密度は、プロデューサーによって個人差があると言えます。
若手プロデューサーなどになると、仕事に熱心であり、撮影には全て参加して指示を出すこともあります。
また、撮影は制作会社に全て任せて、一切かかわらないプロデューサーもいます。
しかしながら、後者の場合でも、撮影内容が特殊であるとか、新人の単体女優を起用する場合などには、撮影現場に顔を出すのがプロデューサーの常識とされているようです。
キャスティング以降のプロデューサー
面接でAV女優と会い、作品の企画的にも、AV女優のクオリティ的にも問題がないとなれば、メーカーからプロダクションに出演依頼を出すことになります。
それ以降、基本的にプロデューサーが関わることはなくなり、現場のスタッフや監督が主体となって打ち合わせをし、撮影日時や場所が決められます。
唯一プロデューサーが関わると言えば、上記にもちょっとお話しした通り、パッケージ撮影です。
パッケージとは、DVDのパッケージの表紙を飾るAV女優の写真のことです。
パッケージが良ければ視聴者は見たいと思うものですし、パッケージが悪ければ見る気が失せるものですから、パッケージ写真は売り上げを左右するものであり、商品の要であるとも言えます。
パッケージ写真のほかにも、作品のプロモーションのために使う写真も撮影することがありますが、これもパッケージ写真と同時にまとめて撮影するのが普通です。
パッケージ写真やプロモーション写真は、売上を左右するほどの大切なものであるため、プロデューサーはかなり力を入れます。
AVの撮影と同じ日に、午前中を丸ごと使って撮影したり、撮影とは別の日に長時間かけて撮影します。
このとき、撮影の指示を出したり、撮影を特別な場所で行うならば、その場所を手配するのもプロデューサーの仕事です。
パッケージ写真やプロモーション写真を撮影したならば、AV制作に関するプロデューサーの仕事は終わります。
その後、VTRのモザイクや音声を入れるなどの編集は制作会社、パッケージデザインはデザイン会社が行い、雑誌などでのプロモーションはプロデューサーやその他のメーカー社員が行うことになります。
メーカーと専属契約を交わしている単体AV女優の場合、メーカーは売り込みに力を入れますから、作品のプロモーションのために都内や地方でサイン会、握手会などのイベントを開くことがあります。
このセッティングもプロデューサーの仕事です。
イベントの現場にはAV女優とそのマネージャーが出向き、イベント会場のスタッフと一緒に行なうものであり、イベントそのものにはプロデューサーは行かないのが普通です。
したがって、キャスティング以降、AV女優がプロデューサーと接点を持つのはパッケージ写真の撮影だけということになります。
以上のことから、AVメーカーのプロデューサーは、AV制作に関する最も強い権限を持っているものの、AV女優との接点は限られている存在であるといえます。
AV女優にとっても、一緒に作品作りをしているという意識はほとんどないのが普通で、プロデューサーは裏方的な存在であるといえます。
制作会社と監督
AV女優が、プロデューサーのキャスティングによって出演が決まったら、実際の撮影に臨むことになります。
このとき、カメラを取って撮影するのが、監督をはじめとした制作会社のスタッフです。
制作会社
ほとんどの制作会社は、AV業界における他の組織と比べれば小規模な組織です。
制作会社には2人か3人程度の監督が所属しており、ADが4~5人くらいで運営されています。
一つの現場につき監督1名とADが2~3名同行するのが一般的な例であり、制作会社は1日に2つ程度の現場をこなしていきます。
上記の通り、メーカーから制作会社に依頼が出され、制作費を渡されて撮影するわけですが、現場や撮影に家から様々な費用を差し引き、ひとつの現場につき20~30万円くらいの利益が出るということです。
もちろん、メーカーが出す予算によって利益は変動するため、利益が増減する場合もありますが、ある著名AV監督の話によると、この程度の利益になっているようです。
監督の仕事は脚本づくりから
さて、メーカーが作品の企画とキャスティングするAV女優を決定すると、制作会社ではその企画とAV女優を考慮しながら脚本を書き下ろします。
その後、フリーランスのAV男優やメイク担当者などに依頼を出し、撮影に使うスタジオを押さえ、実際の撮影を行います。
撮影が完了したならば、VTRを適宜編集し、メーカーの担当者に渡します。これが、制作会社の業務です。
つまり、制作会社はAVの中身であるVTRの制作に関する、一切の業務を請け負う存在といえます。
出演する作品を担当する監督が、そのAV女優にとって初めての場合には、最初に会うのは監督面接です。
監督面接は、面接と言ってもなにか審査をされるようなものではなく、出演する作品の打ち合わせのことです。
プロダクションの事務所や制作会社の事務所、時にはメーカーの会議室などで行われますが、制作会社は小ぢんまりとした事務所であることがほとんどなので、多くはプロダクションかメーカーの会議室で行われます。
メーカーの企画によって、監督は作品の基本方針を立てるわけですが、監督面接でAV女優と面会した時、その時に受けた印象やインスピレーション、あるいはAV女優本人の希望によって、方針に変更を加えることもあります。
なんにせよ、監督面接によって方針が固まるわけです。
その結果、監督は詳しい撮影内容を脚本として作るわけですが、監督も多忙であるため、脚本の完成は撮影当日の朝になることもよくあります。
このようにぎりぎりになっても、実際の撮影内容はメーカーの依頼と間違いないか、プロダクションのマネージャーが確認する必要がありますし、当日にも簡単な打ち合わせを行なうため、脚本のない現場というのはあまりありません。
脚本には、作品の内容以外にも、当日の撮影スケジュール、順序、出演者などの情報も盛り込まれているため、脚本がなくては撮影が上手くいきません。
特に、撮影のシーンごとにメイクや衣装を変えることもありますし、AV男優は自分の出演シーンにだけ撮影現場に来て、それが終わったら帰っていきますから、脚本に書かれている内容は撮影の進行に不可欠なのです。
撮影当日のスタッフの仕事
制作会社と監督の仕事が実際の撮影である以上、撮影当日の仕事内容を簡単に確認しておくと役割を理解しやすいと思います。
撮影当日、撮影場所に向かうにあたり、制作会社の車にスタッフもAV女優もマネージャーも乗り合わせて移動するのが普通です。
このとき、マネージャーが同行しない場合もあるわけですが、その場合にAV女優の世話、例えば体調の管理をしたり、AV女優の食べ物・飲み物を買い出したりするのも、制作会社の大切な仕事です。
また、撮影には色々な道具が必要になるのですが、これもすべて制作会社が用意します。
カメラや照明器具はもちろんのこと、プレイに使うおもちゃ、衣装、アメニティなども全て制作会社が準備するものです。
シーンに必要な衣装や小道具の用意、スタジオのセッティングなどはADの仕事となっています。
といっても、制作会社の規模がかなり小さい場合はAV女優の私物を使うこともありますし、撮影内容によって特殊な衣装が必要となる場合には、スタイリストが同行する現場もあります。
カメラマンは、監督がカメラマンを兼ねることも多いのですが、カメラ担当者を雇うこともあります。
しかし、監督がカメラマンを兼ねる場合でも、あくまで指揮を執るのは監督です。
全シーンにおいて監督が立ち会いますし、部屋のセッティングを行なうADを指揮するのも監督の仕事です。
AV女優の体調による撮影内容の変更、例えばハードな内容を撮影していて、AV女優の疲れがひどい場合には、それ以降のシーンを変更するなど、その辺の采配もすべて監督が行います。
衣装やメイクの決定権を持っているのも監督であり、いわば監督は制作現場で一番の権力者と言えます。
AVで性行為を撮影するとき、特にカラミと呼ばれるセックスの撮影の際には、AV女優をリラックスしていい演技を引き出すために、現場のスタッフを最小限度にとどめることも多いのですが、その際にもやはり監督は立ち合い、監督・カメラマン・AV男優・AV女優の四者で撮影が進められるというのも、撮影現場ではよくみられる光景です。
このほか、近年の制作費の削減にともなってよく見られるようになった現象ですが、いくつかのシーンにおいて、監督やADがAV男優の役割を兼ねる場合が少なくありません。
例えば、制作費があまりにも少ない場合には、スタジオのレンタル費や人件費を削減する必要がありますから、撮影現場はラブホテル、スタッフは監督ひとりとし、監督がハンディカムカメラで撮影しながらAV男優役を兼ね、監督・カメラマン・AV男優の一人三役をこなす「ハメ撮り」という手法がとられることもあります。
また、SM作品などの特殊な内容の撮影では、AV女優を縄で縛るプレイが行われることがあります。
このような撮影では、素人が縛るとAV女優に負担がかかる可能性が高いため、プロの縄師に依頼することもあります。
場合によっては、縄師兼監督兼カメラマン兼AV男優という現場も存在します。
したがって、AV女優と監督は、現場によっては実際にセックスをする相手という場合もあるわけです。
AV女優にとっての制作会社
撮影を全て終えると、監督は制作会社にVTRを持ち帰って、編集を行い、メーカーに納品し、全業務は終了となります。
このことから、AV女優と監督の接点は、監督面接と撮影現場のみということになります。
ただし、AV女優が監督から気に入られたり、あるいはAV女優の活動が長くなるにつれて自然に、特定の制作会社と何度も撮影を共にすることもあります。
したがって、AV女優にとって制作会社の人々は、作品作りを通して、重要な仕事仲間という認識が生まれるものです。
といっても、仕事以上の関係になることはほとんどありません。
AVの撮影修了に伴い、打ち上げとして食事に行くくらいのことはありますが、監督のAV女優がプライベートな付き合いになるようなことはあまり見られません。
監督としては、仕事をする上で非常に多くのAV女優と付き合っていくわけですから、その一人ひとりと深く付き合っている暇もありません。
このため、撮影の1~2日間は密に付き合うものの、撮影が終わってしまえば一切接点を持たないのが普通であり、撮影中だけは密に付き合うものの、それ以上でもそれ以下でもないと言ってよいでしょう。
まとめ
本稿では、AV業界において、AV女優が付き合う組織や人々を解説していきました。
当然、このほかには一つの組織も、一人の人も付き合いが発生しないということではありませんが、AV女優人生を通して、頻繁に接点が生じるのはAVプロダクションとマネージャー、AVメーカーとプロデューサー、AV制作会社と監督・スタッフということになります。
それぞれの組織・人間とどのような付き合いをしていくのかということも、本稿によって大体の事を知り得たと思います。
注目したいのは、一般的にイメージされるように、AV女優とアンダーグラウンドな世界の人々に接点が見られないということです。
AVメーカーやAVプロダクションの接点ということでは、それらの付き合いも皆無ではないでしょうが、それは全く表面化するほどのものではなく、その程度の付き合いならばキャバクラや風俗店、その他の企業においてもしばしばみられるレベルの接点です。
そして、AV女優本人がそのような危険な人々と、業務上の必要から接点を持たなければならないことはありません。
決して、よくイメージされるように、AVプロダクションやメーカーはヤクザが運営しており、AV女優たちが脅されて撮影を強要されているというようなことはないのです。