AVの出演者はいかに選ばれるか
ドラマでも映画でも劇でも、配役によって作品の質が左右されるのは言うまでもありません。
誰が主演を演じ、脇役は誰が演じていくかということは、作品そのもののイメージさえも左右するものです。
これはAVでも同じことです。
その作品で取り上げるテーマと内容に最もふさわしいイメージをもち、求められる演技ができるAV女優をキャスティングする必要があるのです。
では、AVのキャスティングはどのように選ばれているのでしょうか。
配役の決定方法は二通り
AVの出演者を選ぶ方法には二つのパターンがあります。
ひとつは大手メーカーから「このAV女優を使ってくれ」という旨の依頼を受ける場合であり、もう一つは制作会社が企画を立て、その企画に沿って配役する場合です。
大手メーカーからの依頼の場合は、製作側の意思とは関係なくすでに出演するAV女優が決まっていくため、製作はそのAV女優を使うことを前提として売れる作品を作るためにはどうすればよいか、指定のAV女優からなにを引き出していくかということを考えていきます。
もっとも、このケースではAV女優だけが指定されるのではなく、そのほかにも色々と指定されたうえで製作していくことになり、例えば設定を女子大生にするのか、人妻とするのか、バツイチのシングルマザーとするのか、OLとするのかなどなどの細かく指定されることがほとんどです。
もう一つの制作会社が計画を立てて進めていく場合には、AV女優のキャスティングも制作会社が行うことになります。
キャスティングの基準
後者の場合、制作会社はどのような基準によってAV女優やAV男優を選んでいくのでしょうか。
当然のことながら、その俳優が優れていることが前提となるのはドラマや映画と同じことです。
しかし、何を以て優れているとするかということに関しては、ドラマや映画とAVでは明らかに異なります。
ドラマや映画などでは細かい脚本が作られており、脚本をもとに俳優を選んでいくことが多いのに対し、AVではストーリーの重要性が低いのです。
そもそも、俳優ではないAV女優やAV男優に演技を求めることは不可能であり、それを求めすぎれば駄作になりかねないからです。
では、AVにおける優れた女優・男優とはどのような俳優のことを指すのでしょうか。
まずは男優から考えてみましょう。
一昔前はAV女優以上に世間からの風当たりが強かったAV男優ですが、最近になってようやくポジティブなイメージを持たれることが多くなっており、「エロメン」などと呼ばれることもあります。
AV男優として著作活動をしているAV男優もいます。
そんなAV男優にもピンからキリまでいます。
ヒエラルキーでいえば射精だけのために集められる汁男優もいれば、専業で大いに稼ぐトップAV男優に分けられますし、単にAV女優とセックスして自己満足に陥るだけのAV男優もいれば、AVがいかに良いものとなるかを考えて仕事を子なるプロのAV男優もいます。
AV男優の仕事がいい加減であれば、AV女優がどれほど素晴らしくとも、監督の演出が素晴らしくとも駄作になってしまうと言いますから、AV男優の役割は大きいと言えます。
多くの視聴者側からすれば男優はどうでもよい存在なのですが、作品の中では重要な存在なのです。
なぜそれほどまでにAV男優が重要になるかと言えば、男優が女優の緊張をほぐしたり、気持ちよくさせることができなければ視聴者はつまらないと感じてしまうからです。
また、感じさせるだけでようわけもなく、AV男優がAV女優をリードしてカメラによい映像が映るようにしていかなければなりません。
例えばAV女優の感じている顔がカメラに映るように工夫したり、カメラマンがハメシロ(挿入時の結合部分をカメラに収めること)を撮影しやすいように工夫しながら腰を振ったりしなければならないのです。
したがって、優れたAV男優とは単純にセックスをしているのではなく、視聴者のことを意識しながらAV女優をリードできるAV男優こそが優れているとされます。
もちろん、AV男優にも注目が集まりつつある今、AV男優そのものも魅力的であるに越したことはありません。
ではAV女優はどうでしょうか。
AV女優はAV男優ほど厳しい基準で選ばれているわけではありません。
それは、監督が魅力的(場合によってはやりたい)と思う女性になります。
もっとも、男ならばだれしも美人とセックスをしたいと思うものですが、美人ならば必ずやりたいかというとそうではなく、ただ美人であるだけでは即やりたいにはつながりません。
AV女優として美人は重要なポイントになりやすいものですが、かといって美人ならばすなわちいい作品がとれるとも限らず、それだけでキャスティングされるものではないのです。
例えば意外性がある女性は魅力的です。
不思議ちゃんと言った風貌の女性がひとたびセックスを始めるとガラリと変わって淫乱になれば意外性があります。
上品で清楚な雰囲気の人妻が乱れるなどといった作品は溢れており、あまり意外性がないため、「この子をこういう設定で撮影したら意外性があるかもしれない」と監督が判断すればキャスティングされることとなります。
美人が溢れる現在のAV業界において、美人をキャスティングすれば必ず売れるとは限らず、やはり意外性などを利用して面白さを増幅させていく工夫が求められます。
このように、美人としてのレベルは一定の基準を越えればそれ以上はどれほど高くともそれほど大切なものではなく、別の点で魅力的なAV女優を起用することによって、視聴者に「やりたい」と思わせることが大切なのです。
優れた女優はどうやって見つける?
では、そのようなAV女優やAV男優はどのように発見されるのでしょうか。
もちろん、プロダクションの宣伝も参考にしますが、何百という宣伝を受ける監督は絞り込みが容易ではありません。
そこで、重要となるのは「口コミ」です。
AV男優を選ぶ際には実際に肌を合わせたことがあるAV女優に聞き、逆もそのようにするのが確実です。
口コミが重要となるのは当然のことでしょう。
例えばAV女優を選ぶ際には「あの子は反応が素直で撮影がスムーズに進んだ」とか「あの子の乱れ方はすごい」などの口コミが欲しいわけですが、実際に共演したAV男優ならばそれをよく知っています。
口コミによってAV女優の撮影中の姿を知ることができれば、撮りたい作品に適しているAV女優を選ぶことも可能となります。
AV女優にしろ、AV男優にしろ、キャラは非常に大切です。
最近ツイッターなどもファンを集めている人気AV女優を見てみれば、皆見事なキャラクターを持っていることが分かります。
単なる美人ならば履いて捨てるほどいるもので、その他の魅力が大切なのです。
そして、そのような魅力あふれる出演者を選ぶにあたっては上記のような方法が採られているのです。