知的障害が6割?AV女優には知的障害者が多いってのは本当なのか?
ネットを見ると「AV女優の大半が知的障害者である」というような書き込みが見られますが、これを全否定してみたいと思います。
見出し
AV女優のほとんどが知的障害者?
ネット上に蔓延する批判
先日、インターネットでAV女優について色々な情報を検索している時、気になることがありました。
2ちゃんねるなどの掲示板で「AV女優なんてほとんどが知的障害だ」とするような書きこみが多数見られたのです。
彼らの発言も色々ですが、多くは全く論理的ではない「人前でセックスするなんて知的障害者のやること」というような意見を言っています。
比率が多いと言う主張
彼らいわくその比率は大きく、少なく見積もって6割、おそらく8割以上がそうなのだといいます。
何を根拠にこの数字が提示されているのかは全く不明ですし、元々掲示板での書き込みには責任が伴わないだけに、これを読んだからそうだとするのは早計でしょう。
今回は、AV女優には本当に知的障害者が多いのか?ということを検証していくこととします。
そもそも知的障害とは?言葉の意味
この検証を進めていくにあたって、まずは知的障害と言うものが一体何であるのかを明らかにする必要があるでしょう。
「知的-障害」の「知的」の意味は二つあり、ひとつは「理知的」などというように知性が豊かであることを示し、もうひとつは知性そのものを示したり、他の単語と合わせて知識に関する何らかのものを示します。
「知的障害」の「知的」もこのケースです。
次に「障害」ですが、広辞苑によると「身体器官に何らかのさわりがあって機能を果たさないこと」とあります。
つまり「知的障害」とは、「知能に何らかのさわりがあって機能を果たさないこと」であると言えます。
そもそも知的障害とは?その定義
知的障害の学術的定義
そして、学術的な定義を見てみると、
「知的機能に制約があること」
「適応行動に制約を伴う状態であること」
「発達期に生じる障害であること」
の3つの定義があり、一般的には金銭管理や読み書き・計算など、日常生活や仕事、学校などで頭脳と使った行動をするときに支障がある状態の事を指します。
学術的定義とAV女優
つまり、2ちゃんねるの発言から考えるならば、
「人前でセックスするなんておかしい。知的障害に違いない」
と言う発言は
「人前でセックスをするということは、『セックスは本来人に見せるものではない』という一般的な通念を理解できていないと言うことであり、それは紛れもなく知的機能に制約があることの証拠だ」
という意味で言っているのです。
もしくは、
「知的障害者は適応行動や知的生産において支障があるため、一般社会で働くことが難しい。しかし、顔が可愛ければAV女優として稼いでいくことができる。だから知的障害者はAV女優として働き、結果的にAV女優のほとんどが知的障害者になる」
という意見でもあります。
AV女優≠知的障害者
では、2ちゃんねるのこのような発言ははたして正しいのでしょうか。
いえ、そのようなことは全くありません。
なぜならば、AV女優は甘い業界ではなく、それが知的障害者であろうと健常者であろうと、適応できない人や空気を読めない人、頭が良くない人では到底勤まらない仕事だからです。
AV業界の慣例や働き方等、マネージャーはアドバイスはしてくれるものの、細かい点までマニュアル化された指導が施されることはありません。
AV女優たちはそれを1回1回の撮影現場で体感して学び取り、適応していく必要があるのです。
このような行為は知的障害を抱えた人には難しく、とても勤まる仕事ではありません。
セックスをさらすことが異常?
セックスをさらすことのタブー
セックスをさらすことは一般通念においてはタブーであり、その考え方をもってすればAVへの出演はタブーであるため、AV女優たちはまともな通念を持っていない、知的障害者であるとする考え方が芽生えてくることもあるでしょう。
しかし、それはあまりにも短絡的な考え方です。
社会の考え方の変化
確かに、数十年前、まだ日本の古典的な思想が深く根付いていたころであれば、人前でセックスをさらすべきではないという考え方は強く、AV女優たちは知的障害であると思われても仕方のなかった一面があります。
しかし、今や社会全体が性に対して寛大になっており、AVに出演することにも抵抗のない女性が非常に多くなっています。
だからといって、昔に比べて日本の女性に知的障害者が激増しているかと言うと、決してそうではありません。
そのような考え方は「AV女優=知的障害者」というよりも、むしろ「性に寛大な女性=知的障害者」とするものです。
性を売る=知的障害ではない
これでは、AV女優だけではなく性的な産業に従事する全ての女性が知的障害であると決めつけてしまうことになってしまい、性に寛大な欧米の女性は非常に多くの女性が知的障害者と言うことになってしまいます。
当然、そうではありません。
変化したのは女性たちの脳の構造ではなく、社会の構造です。
AV女優には知性が求められる
様々な仕事をこなすAV女優
AV女優が知的障害者ではない証拠はほかにもあります。
それは、AV女優という仕事が、非常に知性を求められる仕事であると言うことです。
AV女優たちが通常行っている業務は様々で、メーカー面接、監督面接、VTR撮影、パッケージ撮影、グラビア撮影、撮影会・握手会・サイン会などのイベントなど非常に多岐に渡ります。
これらの多岐にわたる業務をこなしていくにあたって、彼女たちは場面ごとに色々な対応を求められるのは当然のことです。
様々な仕事を包括的にこなす
AV女優の多くは、これらの仕事を継続的に行っています。
中には数本出演しただけで去っていく女優もいるのですが、それにしてもプロダクションに所属してから登録が抹消されるまではAV女優であり、様々な業務をこなしていくことになります。
わかりやすくいうならば、AV女優というのは「AVに出演した女性」というよりも「AV女優としての業務をこなした女性」であるのです。
慣習化されている仕事とそうではない仕事
上記のように多岐にわたるAV女優の仕事の中には、慣習化されている仕事とそうではない仕事があります。
慣習化される仕事
慣習化・制度化されている仕事とは、VTR撮影やプロモーション活動等です。
これらはかなり制度化されており、どのように進めていくべきであるかなどがかなり明確・詳細に制度化されています。
グラビア撮影などの一般の媒体に露出、ファン交流なども、プロダクションとメーカーが企画して主催するものであり、その中でどのように業務をこなしていくかが明確に決められているのは当然のことです。
そのため、これらの仕事は慣習通りに行われています。
VTR撮影も自然体を重視するために慣習化されていないと思われることもあるのですが、どのメーカーを見ても基本的な過程、手法によって行われています。
慣習化されていない部分
しかし、慣習化・制度化されているとはいっても、これらが何らかのマニュアル本のようにがっちりと明文化されており、女優はこれを熟読して全貌を知ると言うことがありません。
AV女優たちが業務を知るのは実際にその業務を行い経験した時のことです。
例えば、プロダクション主催のプロモーション活動などはAV女優に義務付けられないこともよくありますし、企画女優ならば仕事量は自分で調整することができ、メーカー面接もそれほどこなす必要はありません。
ところが、これらの慣習をプロダクションが女優に対して教えることもありません。
プロダクションが用意する仕事や承諾した仕事をその場その場でこなしていく中で、女優たちは現場から色々な事を学びます。
現場ではスタッフたちの言葉が飛び交い、他の女優と共演することがあれば会話の中で学ぶこともあります。
このようにして学んでいく中で、AV女優たちは「ここはこうするべきなんだよね?」といったように、学び取った慣習に沿った行動を取るようになります。
空気を読む力が必要
このように、AV女優たちが仕事をするときには、こうしろ、ああしろと言葉で指示を与えられることはあまりありません。
AVの歴史の中で作られてきた慣習にそって現場は動いていく物の、きっちりと明確に、文章にするなどして明確化されていることはないのです。
ある意味では、AV女優は自発性を重んじられる立場であり、仕事量やVTRの内容など、自分で求めるAV女優像に近づくように立ち回る必要があるのです。
もし彼女たちが知的障害であったならば、慣習を学び取ることができないため、現場でもうまく立ち回ることができずに満足な仕事をすることはできないでしょう。
このことから、AV女優として仕事をするためには空気を読む力、そして空気を読んで慣例を学び現場に適応していく力が必要な職業であり、それができている以上彼女たちは知的障害者ではないと言うことが分かります。
過激な行為をするから知的障害?
さらにもう一つの意見として、AV女優はときにぶっかけ、SM、スカトロなどといった過激な行為も行うことに対して、
「いくらお金のためだからと言ってこのような過激な行為を行うのは知的障害をもっているからだ」
とする意見があります。
これはどうなのでしょうか。
単体女優と企画女優の違い
AV女優には単体と企画とがあり、単体女優のギャラは契約を結ぶ際にメーカーとプロダクションが協議を行うことで決定します。
このギャラは契約期間中変動することなく支払われるため、どのような内容に出演しようとも変わることなく払われ続けます。
そのため、基本的には単体女優は契約期間中はNG項目を解禁する必要はありません。
しかし、企画女優は違います。
女優のギャラはVTRの内容や拘束時間によって異なり、簡単な内容ではギャラが安くなり、特殊な技術や過激な内容となる撮影ではギャラがア高くなるのです。
ギャラのために過激な内容にチャレンジする
また、企画女優は単体女優よりギャラが低くなるものです。
そのため、単体女優にできるだけ近い、あるいは単体女優以上の稼ぎを得るためには一つの作品の単価を上げるために過激な内容に出演する必要があります。
だからこそ、企画女優たちは自ら難しい内容にチャレンジしていくのです。
ギャラだけではない動機
また、AV女優としての活動を続けていくうちに、同じジャンルや同じ内容のものばかりに出演していたのでは、いずれ飽きられて仕事はなくなってしまいます。
だからこそ、一通り簡単な作品に出演した後も活動を継続しようと思うならば、徐々にNGを解禁して新たな内容、時にはハードな内容に出演していく必要があるのです。
NG解禁は時間をかけて
もっとも、NG項目は時間をかけて解禁されていくものです。
なぜならば、いきなりたくさんのNG解禁を行ってしまえば、ファンたちにとっては大きな方向転換以外の何物でもないため、離れていってしまうことが多いからです。
そのため、女優たちはメーカープロデューサーのアドバイスやマネージャーとの相談の結果、バランスを取りながらNGを 解禁していきます。
時間をかけて解禁して言うだけに、女優たちはあまり強い意識を持っていないまま、結果的に色々なジャンルに挑戦していくこととなるのです。
ハード作品への出演も計画のうち
もし、女優から望んでいきなりハードな内容に挑戦していたならば、それは確かにおかしなことです。
1作目から極端に変態性が強いに出演している女優がいるならば、知的障害と罵られても仕方のないことかもしれません。
しかし、彼女たちは徐々に、AV女優としてのキャリアを積むための一貫として、また長く活動していくための方法として、計画性を以てNG解禁を行っているのです。
このような計画性がある点を見てみれば、知的障害ではないことが明らかです。
撮影現場での立ち居振る舞い
この他にも、AV女優が知的障害者では勤まらない色々な理由があります。
その多くは撮影現場を見てみるとよくわかるでしょう。
製作費削減の影響
近年のAV製作費の縮小によって、制作側の人々は非常に過密スケジュールを強いられています。
製作費は昔の半分以下に落ちているため、昔ならば3日かけてゆっくりと撮影していた内容を、スタジオ代を割けないために1日で撮影してしまう必要があります。
このとき、知的障害の定義でも述べた通りの特異性を女優たちが発揮してしまえば、撮影はうまく進行しなくなってしまいます。
臨機応変な対応をして撮影がスムーズに進むようにしていかなければ、撮影時間は伸びてしまい、予算オーバーをしてしまうことになります。
女優には観察力や洞察力が求められる
撮影が押すなどは絶対に避けなければならず、女優には現場をスムーズに進めるための協調性は最低限求められ、「適応できない」という特徴を持っている女性はいくらルックスとスタイルがよくとも活躍することは難しいのです。
また、有名になる女優たちは皆、監督がどのような姿を撮影したいのか、今自分はカメラにどのように映っているのかなどを考えながら、撮影に協力していく必要があるのです。
つまり、人並み以上の観察力や洞察力が求められると言うことです。
演技もしなければならない
この他にも、多少の演技力が求められます。
俳優ではないもののドラマものなども撮影する機会があるAV女優たちは、セリフを覚える必要もあれば、細かく設定された脚本をもとに演技をしていく必要があるのです。
確かに演技のレベルは低いものですが、それでも最低限のことをこなせないようではAV女優としての未来は明るくありません。
そもそも知的障害者が入る余地がない
以上のような理由から、AV女優は知的障害者ではないことは明らかです。
そして極めつけは、そもそも今のAV業界には知的障害者が入る余地がなかなかないという話で締めくくりましょう。
自ら応募する女性が増えた
確かに昔はそのような女性を騙すようにして出演させるケースが非常に多かったものの、それは何十年も前のことであり、今のAV業界はすっかり変わってしまいました。
そもそも、なぜ昔はそのような女性を騙さなければならなかったのかと言えば、それは働き手となる女性がいなかったためです。
しかし、今はAV女優がアイドルのように見られるようになってきており、また社会全体が性に対して寛大になってきたことから、自ら応募してAV女優になるケースが非常に多くなりました。
知的障害者を選ばなくともよくなった
プロダクションからしてみれば、スカウトに頼ってばかりいたのが今や自ら応募してくれるのですからこれほどありがたいことはありません。
昔ならば必死にスカウトして集まった10人に働いてもらっていて人手が足りなかったのに対し、今や自ら応募してくる人と、スカウトに気軽に応じてくれた女性たち合わせて1000人の中から人材を選ぶことができるようになったのです。
上記の通り、AV女優は知性が求められる仕事です。
ならば、集まった中から選ぶにあたって、プロダクションがわざわざ知的障害者を選ぶでしょうか?
また、ルックスやスタイルがよいから採用したとしても、そのような問題ある女性のマネージメントに労力を割くでしょうか?
このように考えると、今のAV業界では、知的障害者が入っていく隙間が非常に少なくなっていることが分かると思います。
まとめ
このように考えていくと、AV女優は紛れもなく真っ当な知能の持ち主です。
むしろ、AV女優を引退してタレントになる女性がいたり、現役で活躍しながら頭の回転が必要とされるバラエティ番組で活躍したり、本を書いたり、漫画を書いたり、音楽活動をしたりと、知的活動に従事している女性が非常に多いのです。
このことからも、AV女優が知的障害者であるとする意見がいかに誤った意見であるかがわかるでしょう。