普通の人がAV女優になる理由を深く掘り下げてみた
最近、AV女優が著しくボーダレス化しています。
昔はその労働内容が敬遠されていたため特殊性を秘めた職業でした。
仕事内容は現場を転々として日当ギャラのためにセックスを披露すると言うものです。
もはやAVはセーフティネットではない
病気、怪我、誰かにばれて人間関係が壊れるなど色々なリスクが考えられるにもかかわらず、世間の思っているような高収入が得られるのは一部の大人気を獲得したAVアイドルだけです。
そして撮影に求められるのは過激な性行為が多いと言うものであり、他の多くの仕事よりも大変な肉体労働と言えるでしょう。
しかし、このような仕事であるにもかかわらずAV女優の世界では育ち、社会的地位、年齢に関係なく、様々なタイプの女性が自ら志望するようになりました。
一昔前の、AV女優と言う仕事が社会の最下層の女性のセーフティネットとして機能していた頃には、やむを得ない理由がある女性が大きな決断によってAV女優になっていたものですが、最近ではそのような特別な理由もない女性が、大きな決断もなく、だれもが日常生活の中で経験しているささいなことをきっかけとしてAVに応募しているのです。
つまり、小さなきっかけから究極の職業に就職することとなり、しかも悲観的な感じではなく楽しく仕事をしている場合が多いのです。
AVに志望する理由は誰にでもありえること
例えば、AVに志望する一つの理由として、最近の若い女性ならばだれもが経験しうる生活困難が挙げられます。
例えば、何か夢を抱いて都会に出てきた女性がいたとしましょう。
夢を追うために養成校や専門学校に通うこととなりますが、学業の傍ら生活費と学費を稼ぐためにアルバイトも必要となります。
通う施設の内容にもよりますが、仮に女優を目指して俳優養成所に通ったとしましょう。
ある養成所では初年度は80万円、それ以降は40万円を支払うことになります。
月当たりにすると約3.5万円。
この他衣食住にかかるお金を10万円くらいと考えると雑費も含め15万円くらいは見ておくとよいでしょう。
アルバイトで15万円を稼ぐことは容易ではありません。
時給1000円のアルバイトを夜間に8時間行ったとして1日8000円の稼ぎになり、これを20日間行うことになります。
それでもぎりぎりです。
レッスンや自主的学習、アルバイトばかりの日々で睡眠もままならず、それを俳優として生活が成り立つまで永遠に続けなければなりません。
そして生活困難からもっと高収入のアルバイトはないかな、と考えるうちにAV出演にたどり着くのです。つまり、低収入から抜け出すためにAVに足を踏み入れるというパターンです。
この場合、もっと楽にお金を稼げないかと考えて高収入アルバイトをインターネットで検索します。
するとキャバクラや風俗店も同時にヒットしますが、これらはできないと思った女性がさらに他のものを探すうちにプロダクションに出会います。
そして体の一部だけを露出するパーツモデルとしても働くことができるというような記述がされていると、これに惹かれてプロダクションの面接をすることになります。
しかし、パーツモデル等と言うのは人に比べて抜群に美しい足や腕をテーマにしたファッションモデルの分野であり、依頼にこたえられる可能性は非常にまれです。
つまり、パーツモデルという性的なイメージが低く、敷居が低いようにイメージされている言葉を利用して一般の女性の目に留まるように工夫し、面接で口説くことでAV女優にデビューさせるのです。
素人っぽい女性が好まれる現実
とくに、新規にAV女優になる女性として、プロダクションに好都合なのは上記のように「何かを目指して上京してきた田舎の素人女性」というようなものであれば好都合です。
世間知らずであるため口説きやすいと言うこともあるのですが、それ以上にそのような女性と言うのはほんとうにずぶの素人であることが多く、清楚な感じやしとやかな感じを持っているからです。
これまで性風俗や援助交際などには全く縁がなかった素人女性が淫乱に乱れる姿は男性を興奮させやすいのです。
田舎くさくなくとも、これまで性的なものと無縁であったと言うことから素人くさい女性もAV女優になる人としては好都合です。
これもまた売春経験が豊富な女性に比べて癖がなく、特に高学歴であったり、これまで何一つ不便なく幸せに生きてきた女性出あったり、社会的に認められる何らかの資格や履歴をもっていたりする女性ならば価値は高くなります。
普段AV等と縁があるわけがないにもかかわらず、そのような女性が意外にも出演すると言うことで宣伝効果もあります。
このように、いまや「AV女優になる人」の対象は非常に多岐にわたっており、「このような女性がAV女優になる」というようなステレオタイプは存在しなくなっています。
AVがだれでもなりえる職業になった理由
このようなボーダレス化が起こったのは1990年代後半からです。
このころから次第に携帯電話やパソコンが普及し始め、インターネット上に女性向け高収入アルバイトとしてモデルの募集サイトが次々と開設されるようになったのです。
これによってAVに興味があったもののこれまで応募する機会がなかった女性や、なんとなく話だけでも聞いてみたいと思った女性が気軽に応募するようになったことです。
また、この時期に合わせて小泉首相時代の構造改革による不景気の嵐が吹き荒れました。
就職は難しくなり、年功序列は崩壊し、地方経済は弱体化して貧困層が多数誕生しました。
拝金主義に陥る人が増え、拝金主義とは言わないまでもお金に対する欲求は強くなり、お金さえあればという観念が徳の頽廃を生み、素人女性の援助交際が流通し、このような傾向を持つ女性たちは未来が見えないことから貞操観念などを維持できなくなりました。
この当時もひどい不景気の時代でしたが、今もそれと同じく不景気な時代です。
就職氷河期などと言われ、4年制大学を卒業したとしても有名大学以上でなければなかなか就職できるものではありません。
何十社も受けた後になんとか零細企業やブラック企業に引っ掛かり、朝から晩まで低賃金で酷い労働を強いられています。
アルバイトをしていた方がまだ稼げるのではないかと思うような労働環境も見られるほどです。
例えば毎日12時間以上働いて毎月の手取りは15万円程度というような状況が生み出されているのですが、これが貧困層の典型的な例です。
AV女優は最下層ではなくなった
貧困層はAV女優より下の層に位置します。
AV女優は自分の身を切り売りする職業ではありますが、自分の力で稼ぎ、このように働いても働いても貧困から抜け出せない層よりは多くを稼いでいるからです。
AV女優には未来がないという人もいます。
確かにAV女優では大成功しなければその後にキャリアとして活かすことが難しい側面もあります。
しかし、女性であることを活かしてその後の人生を切り開いていくことは不可能ではありません。
それに「未来が見えない」という意味では貧困層だって同じことです。
このような世相である上に、インターネット技術は小泉時代のそれとは比べ物にならないほど発達しています。
したがって、これらを原因としてAV女優という職業はこれから益々、どの女性にとっても選択し得る職業となっていくことでしょう。
時代の流れというものはなかなか止められないものです。
時によって流れが速くなったり遅くなったりすることはありますが、根本から流れを断ち切ることは非常に難しいことで、もしAV業界の今の流れを止めようと思えば、何十年と言う長い期間をかけ、社会のあらゆる面から改革を図らなければならないでしょう。
しかし、そのような余裕が今の日本にあるとも思えませんし、流れを止める必要性が叫ばれているわけでもありません。
今後さらに、AV女優はだれでも挑戦し得る職業と認識されていくことでしょう。