AV女優のランクづけは「単体」「企画単体」「企画」
私たちは、AVという媒体で性行為を披露する女性のことを「AV女優」と呼んでいますが、実はAV女優にもいくつかの種類があります。
それは、「単体」「企画単体」「企画」という、三つのランクです。
このランクの違いによって、AV女優の働き方や稼ぎ、将来性などが大きく変わってきます。
本稿では、AV女優のこのランク分けについて、詳しく解説していきます。
AV女優のランクづけは3つ
一口にAV女優といっても、彼女たちは三種類に分類されています。
それは、「単体」、「企画単体」、「企画」の三種類です。
AV業界では普通に使われる専門用語ですが、一般的にはなじみのない言葉です。
わかりやすく例えるならば、単体はAV女優の中でもトップクラスの女優のことであり、会社でいえば正社員です。
企画単体も上位ランクであり、会社でいえば契約社員です。
企画はAV女優全体の80%以上を占める最下層のランクで、会社でいえばアルバイトです。
正社員・契約社員・アルバイトを例にすれば、安定性、将来性、稼ぎ、会社における重要性などが良くわかると思います。
実際にAV業界では、単体・企画単体・企画の度のランクに所属しているかによって、仕事の依頼の数、出演料、プロダクションの待遇など、様々な扱いが明らかに違ってきます。
単体はAV業界のアイドル
単体とは、AV業界のトップに君臨する一握りのAV女優のことで、一本のAVをそのAV女優を主役として作ることができる存在であり、またそのAV女優の知名度と人気によって、そのAV女優を主役に据えて撮影をすれば、ある程度の売り上げを見込めるAV女優の事を指します。
いわばAV女優の中でもスター的な存在です。
一時期、AV女優によって構成されるアイドルユニットである「恵比寿マスカッツ」が大変な人気となりましたが、メンバーのように地上波・BS放送のバラエティ番組で活躍したり、ラジオ番組のMCを務めたり、広く一般を対象としたイベントに登場したりしているAV女優の多くは単体です。
つまり単体レベルになると、AV女優でありながら、AV業界を飛び出して一般の芸能界で活躍するという、大成功を収める女性も出てくるということです。
単体女優は、企画単体と企画とは異なり、特定のAVメーカーと契約したうえで活動するという特徴があり、1本あたりの計算で出演料が支払われます。
それだけに大きな稼ぎを安定的に得られるとも言えます。
すなわち、プロダクションがメーカーに営業をかけ、メーカーが「この子は売れる!」と判断した場合には、「月に1本の出演で〇本分」と言ったように本数契約が交わされるのです。
単体女優は、本数契約をするわけですから、メーカーとしても失敗は許されません。
ですから、何千人といるAV女優の中で、単体女優になれるAV女優はごく一握りであり、優れたルックスとスタイルと華やかさ、そして運がなければまず単体女優になることはできません。
また、契約を結んで作った作品を、メーカーは何としても売らなければなりません。
だからこそ、デビューが決まれば新聞や雑誌などで盛んに広告を出し、イベントなども開いて大々的に告知したうえで売り出すのが通例です。
それだけに、「親や知り合いにバレないように活動していきたい」と考えている女性は、単体女優になることはまず不可能です。
皆さんも、蒼井そら、吉沢明歩、麻美ゆまなど、名前を聞いたことがあるというAV女優がいると思います。
女性でも知っているような、そのようなAV女優は、一般の週刊誌やスポーツ新聞、テレビ番組などに登場するからこそ、一般の女性でも知っているのです。
しかし、彼女たちは上記の通り、AV女優のなかでもほとんどいないレベルの成功者であり、彼女たちをみて「あんな風になってたくさん稼ぎたい!」と考えたとしても、あまり現実的な願望とは言えません。
AV業界を支える企画単体
次に、企画単体とはどのようなAV女優なのでしょうか。
企画単体は、単体という名前がついている通り、そのAV女優を主役として一本の作品を作ることができるだけの、ルックス・スタイル・演技力などの光るものを持っているAV女優です。
しかしながら、単体のようにメーカーと契約を交わしているわけではなく、それだけにメーカーが売り出してくれるわけでもありませんから、知名度は単体よりも低くなる傾向があります。
また、契約をして1本あたりで計算した出演料をもらうのではなく、一日単位で計算した日当をもらうというように、稼ぎ方も異なります。
したがって、企画単体は、特定のメーカーの作品にしか出演できないという拘束がありません。
NG項目がほとんどない企画単体になると、様々なメーカーから声がかかって非常に多くを稼ぐこともあります。
そもそも単体は、メーカーが「この子は絶対に売れるから、契約で拘束して、ウチで独占的に売り出したい」という意図をもって契約をするものです。
他のメーカーでは出演できないのですから、そのAV女優のファンの需要は、契約したメーカーが全て取り込むことができるのです。
だからこそ、契約して独占的に売り出すわけですが、そのためには資金力やノウハウが必要となるため、実際に契約できるのは大手メーカーだけとなります。
したがって、中小のメーカーは単体女優を使わず、企画単体女優を使って作品を作ることになります。
また、現在では流れが変わりつつあり、大手メーカーでも企画単体を軸にした作品作りが主流になりつつあります。
企画単体は契約による制約がなく、どのメーカーにも自由に出演でき、さらに売れっ子になると多くのメーカーからの依頼が集中する傾向があるため、すさまじい稼ぎとなることがあります。
例えば、売れっ子の企画単体女優が、1日当たりの日当が50万円で出演し、月に20本を撮影して25日間稼働したならば、それだけで出演料は1250万円となります。
プロダクションと折半としても625万円の月収になるわけで、普通のOLの2年分くらいの給料を1ヶ月で稼ぎ出すこともあるのです。
このような成功を収めたAV女優の代表としては、上原亜衣が挙げられるでしょう。
最初は無名の女優だったのですが、企画単体として出演を重ねていくうちに名前が知られていき、視聴者たちがネット上で情報を共有しあって話題となっていったのです。
最盛期の上原亜衣の人気は、単体女優の比ではありませんでした。
彼女のように、メーカーが計画的に売り出して作り上げた単体女優を、企画単体女優が知名度・収入の両面で超えることもあるのです。
80%以上は末端の企画
企画は、企画単体と似た印象を持つかもしれませんが、似て非なる存在です。
何といっても企画は、単体や企画単体のように光るものを持っていないため、自分ひとりの演出ではとても作品を作ることができないAV女優なのです。
AVのジャンルには非常に色々なものがありますが、中には特定のAV女優を主役に立てていないものもたくさんあります。
例えば、盗撮もののAVでは、一般の女性に扮したAV女優を盗撮しますし、人妻ものでは一般の人妻に扮したAV女優とのセックスを撮影します。
似たようなものとして痴漢もの、ナンパものなど様々な作品があります。
これらの作品は、素人を相手にしているという設定で撮影されているのですから、名前の売れた単体や企画単体には務まりません。
そこで活躍するのが企画女優です。
AV女優としての名前はなく、ネットなどでもまったく話題に上らないことから知名度が低いため、素人に扮しての撮影に応えることができます。
作品が出来上がった際にも、パッケージに自分の名前が出ることはほとんどなく、誰にも知られることはありません。
だからこそ、ある作品では女子大生として登場し、ある作品では人妻として登場し、ある作品では現役風俗嬢として登場するなどといったことが可能となります。
そうして現場から現場へとセックスを切り売りしていくわけですが、ギャラは企画単体と同じく日当です。
しかし、名前が出ないため、いくら出演しても知名度があがることがほとんどありえず、知名度がないだけに出演料はかなり安くなります。
また、企画女優はAV女優全体の80%以上にも上りますから、非常に競争が激しく、仕事の依頼を受けるのも容易ではありません。
仕事を増やしたいと思えば、過激な内容のAVに出演するほかなくなりますが、過激であるにもかかわらず出演料は安く、疲弊していくという悪循環に陥ることもあります。
とはいえ、普段は普通の仕事をしているOLやフリーター、普段は勉強をしている女子大生、普段は家事をしている主婦などにとっては、知名度が上がらないためにバレにくいことはメリットとなりますし、出演料が安価とはいえ短時間で効率よく稼げるため、週末などのアルバイトとして利用すれば、かなり割のいい仕事になるとも言えます。
例えば、3時間の撮影で5万円もらえたとすれば、時給は約1万7000円です。
また、刺激が欲しい女性や性欲を満たしたい女性にとっても、企画女優は願望を満たしてくれることでしょう。
AV女優の本質は性の切り売り
単体と企画単体、そして企画女優と見てきましたが、AV女優として働き始めた場合、このうちのいずれかのランクに止まり続けるということはありません。
基本的には、単体ならば単体→企画単体とランクが下がるものですし、企画単体も企画単体→企画とランクが下がっていきます。
この下がり方が急であるか、緩やかであるかの違いはあるとしても、基本的には下がっていくのが普通です。
もちろん、下がらずに上昇していくことも無いわけではありません。
単体の場合には、単体として始めてから爆発的なブレイクとなって、契約本数が増えたり、出演料が増えたり、一般メディアに進出していく場合があります。
企画単体にしても、本数を重ねるうちにブレイクして、出演本数が増えたり、中には単体契約を結んで単体女優になることもあります。
ごくまれなケースとして、企画女優が現場で監督から見出されるなどして単体作品を撮影し、企画単体としてブレイクするケースもあります。
上原亜衣もこのケースです。
しかし、このように上昇していくケースは非常にまれなケースであり、普通は下降していきます。
例えば、単体契約を結び、メーカーも大いに期待して華々しくデビューしたにもかかわらず、売り上げが伸びずに契約更新に至らないということはザラにあります。
契約更新できなければ、もう単体ではなく企画単体になるのですから、ランクがさがります。
単体から企画単体に落ちたAV女優は、企画単体として売り出していくことになるわけですが、思うようにオファーがないというケースもあります。
それでもAV女優を続けていくならば、仕方なく無名の女優すなわち企画として出演するほかありません。
ちなみに、単体として活動しているAV女優は、販売成績が悪ければまず契約が更新されることはありません。
契約を切られて単体女優から企画単体あるいは企画に落ちることを、業界では「企画落ち」と言います。
企画落ちしてから企画女優としてブレイクしたならば別ですが、普通は単体の時代に比べて、ギャラは激減するのが普通です。
そして、基本的には単体→企画単体→企画と下降していくことには、別の理由もあります。
それは、一般的に女性の裸やセックスというものは、経験がなく汚れがないほど価値が高いというのが普通の考え方だからです。
経験に乏しく、初々しい女性がAV女優としてデビューするときには、「清純派」などとして売り出すことができるでしょう。
しかし、AV女優として性を切り売りしていけば、多くの男性とのセックスをさらすのですから、いずれは「清純派」だなどとは言えなくなるものです。
つまり、AV女優はセックスのプロであり、普通の仕事におけるプロは経験に応じて価値が上がっていくものなのですが、AV女優は経験を重ねるほどに価値が下がっていく職業なのです。
よほどの才能や魅力がなければ、企画落ちはどんなAV女優にも避けられないものなのです。
まとめ
この単体・企画単体・企画の三つのランクを知るということは、AV女優を知るにあたっての必須の知識です。
この知識によって、AV女優としての成功がいかに難しいものであるかが分かりますし、一般メディアに進出などということは、ほとんどのAV女優女優にとっては不可能なレベルのことであるということもわかります。
また、単体女優の企画落ちが普通に起こる世界であること、経験とともに価値が減っていくことなども重要な知識です。
AV女優という仕事に興味を持っている人もいると思いますが、想像以上に厳しい世界です。
裸になる覚悟さえあれば稼げるというものではありませんし、一般の芸能界と同等あるいはそれ以上の厳しさがあります。
その厳しさを受け入れてAV女優にでの成功を目指すか、あるいはそのような難しさに取り組むのではなく、割のいいアルバイトとしてAV女優に挑戦するか、その辺のことはよく考えてみる必要があるでしょう。