AV女優が子宮がんになりやすいという噂を、最新の医学をもとに検証してみた
AV女優をやってセックスをしまくると子宮がんになりやすいという噂があります。
しかし、最新の医学では、セックスの回数によって子宮がんにかかる確率があがるという定説は覆されています。
性をタブー視する日本人
日本人の悪い癖のひとつは、性にかかわることを極端にタブー視することです。
バラエティ番組にも出演し、一般からの人気も高いAV女優である麻美ゆまが子宮がんにかかったことに関してもです。
心配する声も多かった一方でひどいバッシングが吹き荒れています。
「AV女優みたいにセックスしまくっていれば、子宮がんになるのも不思議ではない」
「体を売り続けていたバチがあたった」
「AVに出演して親を悲しませ、孫の顔を見せられずにまた悲しませ、どんだけ親不孝なんだ」
などの声が見られます。
所詮はネットの中で吠えられているだけの戯言であるため気にすることもないのかもしれませんが、誤りは正しておくべきことでしょう。
その誤りとは、AV女優をやってセックスをしまくると子宮がんになりやすいということです。
最新の医学では、セックスの回数によって子宮がんにかかる確率があがるという定説は覆されています。
確かに、セックスによって移るHPVが子宮がんの原因であることを考えれば、セックスの回数が多い人ほど、単純に子宮がんになる確率も高くなっていると思えます。
しかし、統計情報を用いた最新の医学研究の結果はどうでしょう。
セックスの回数やセックスの際の衛生度にかかわらず、1度でもセックスをしたことがある女性ならばほぼ同じ確率で子宮がんになることが分かったのです。
HPVを知っているか
そもそも、子宮がんについて語っていながらHPVを知らなかったり、HPVとHIVを混同しているのですから恐れ入ります。
HPVはヒトパピローマウイルスのことです。
エイズとは全くの別物であり、ヒトに感染した際にはガンを引き起こすことがほぼ証明されています。
細かく言うならば、このウイルスは子宮頸部の扁平上皮がんの原因ウイルスです。
また、セックスで感染することも証明されています。
ガンと人類の闘いの歴史は長く、長い闘いのなかで多くの人がガンで亡くなり、それでもまだ治療が確立されていない、いわば人類の大きな敵です。
HPVはそのガンの原因になり、人をじわじわと苦しめて死に至らせることもあるウイルスです。
もっと有名になるべきウイルスなのですが、日本人は性をタブー視するあまりに性的な正しい知識に乏しく、HPVを知っている人も多くありません。
アメリカでは高校の教科書にHPVのことが掲載され、子宮がんの原因になることも明記されています。
しかし、日本では教育で教えず、マスコミも取り上げません。
全体主義を好む日本においては、なんらかの大きな意図を持って国民を誘導しなければHPVの知識ひとつ得られず、間違った解釈を元に人を差別してしまっているのです。
死ぬまでセックスをしない女性だけは無縁
さて、上述の通りHPVウイルスは子宮がんの原因になると考えて間違いありません。
また、それはセックスで移るものです。
したがって、セックスをすることはすなわち子宮がんのリスクを負っていると考えても、間違いとは断定できません。
しかし、問題はセックスの回数によって罹患率が左右されると考えられていることです。
なぜならば、HPVは1度でもセックスをしたことのある人ならば全員。
また自分はセックスをしたことがなくとも、これから死ぬまでセックスをしない人はあまりいないでしょう。
パートナーと過去に1回でもセックスを経験していれば、回数の多寡にかかわらず、同程度の感染の確率があるものなのです。
しかし、「HPVに感染すると子宮がんになる」ということばかりが強調され、「セックスの回数は関係がない」ということが全然知られていないのです。
ところで、なぜHPVが子宮がんの原因とわかったのでしょう。
修道女には子宮ガンになる人が少ないのはなぜかという研究が行われた結果、処女が子宮ガンにならないということが報告されたためです。
言い変えてみれば、現在処女であり、これからも死ぬまでずっと処女である女性以外は子宮ガンになる可能性があります。
たくさんセックスをしているAV女優が全く子宮ガンにかからない一方で、1人としか経験したことがない女性が子宮ガンにかかることもあります。
全世界共通の罹患率
「HPV」ときけば、そのような名前を持ったウイルスはどれも同じであると考えるかもしれませんが、ウイルスには色々な種類があります。
HPVは現在70種類以上の型があることが知られています。
そして特徴的なのが、特定の要素をもった地域にのみ広がっているのではなく、全世界に平均的に広まっているウイルスであると言うことです。
つまり、日本と衛生的に発達していない地域を比べても、同じだけいきわたっていると言うことであります。
セックスの際の衛生度に影響を受けていないと言うことが分かります。
この時点で、「不衛生なセックスが子宮ガンの原因である」とする意見は崩壊します。
また、比較的性的に乱れている地域と、比較的性的に厳格である地域を比べてみても差が出ていないことから、
「セックスしまくったら子宮ガンになる」とか「子宮ガンは遊びすぎた報いだ」などという意見も崩壊します。
もしセックスの回数でHPV感染率が高まるならば、性的に乱れた地域はHPV感染者がもっと多くならなければおかしいのです。
そして、どの地域においても感染率は10~30%に及ぶと言われています。
10~30%と開きがあるのは、検査の方法によって差が生じるためです。
それでも、最低10%の罹患率なのですから高いと言っていいでしょう。
罹患率の高さの割にあまり騒がれないのは、このうちガンに発展するHPVの型がかなり限定されているからです。
地域的特異性がないと言うことは、全ての地域の全ての人にひとしく感染の機会があると言うことです。
しかし、マスコミがこれを大きく取り上げる事はありません。
下手に手を出してバッシングを受けたくないということもあるでしょうが、中途半端な取り上げ方をしていることの弊害は大きいでしょう。
中途半端な知識は誤った方向性を生みます。
実際に、HPVの問題を考えるにあたってもそうです。
誰もが同じ感染の確率を持っているにもかかわらず、誰にうつされたか、誰がうつしたかという犯人探しのような問題としてとらえてしまっているのです。
しかし、このような捉え方が無益であることは言うまでもありません。
もし自分がHPVにかかったからといってパートナーを疑ってもなんの意味もありません。
全世界で罹患すべき10~30%に該当してしまった、つまり運が悪かったというほかないのです。
また、注意したいのは、ガンになる可能性がある型のHPVに感染したからと言って、すぐにガンになるということはない、と言うことです。
ガンを発症するためには、何年もかかるものです。
個人の免疫力の差によってはガン化しないこともあります。
また、比較的早くガンになってしまうこともあります。
これは個人によって大きな差があります。