「AV女優はよく自殺する」それは本当なのでしょうか?
「AV女優と自殺」
このキーワードはすごくインパクトがあります。
よくB級雑誌などを見ると、AV女優と死をリンクさせた記事を目にすることがあります。
AV女優の自殺率は一般平均とほとんど差はありません。
若干高い程度です。
低俗な雑誌が面白く書き立てるので、「AV女優はよく自殺する」そんなイメージが定着してしまっています。
見出し
雑誌などのネタとしては最適
「AV女優」という女性に関心を抱かない男性は少なく、「自殺」というキーワードも人が興味を抱くものであり、この2つのキーワードを合わせた時のインパクトは強烈なものです。
また、AV女優とは不幸せな女性たちであると言う認識が広く持たれているため、そのような話題を取り上げた記事は仮に偽りのものであったとして、容易に受け入れられます。
複数の情報が存在したとき、正しい目を持って見ることができない人は自分にとって好ましい話題を選択して飛び付くものです。
不景気で経済的、精神的に困窮した人が増えた現代において、本来不幸であるとして見下されてきたAV女優たちが幸せであるとする記事は顧みられることがありませんが、AV女優と死をリンクさせて不幸にえがきだす記事は好まれるのです。
このような理由から、低俗なB級雑誌は好んでAV女優たちが不幸であるとする記事を掲載し、もしAV女優が死ねばここぞとばかりに飛び付くのです。
もしこれが世間で肯定的に見られている職業の女性であれば、その死を悼む見方が圧倒的に多くなり、雑誌も面白おかしく書くことはしません。
有名女優の自殺例
2000年に入ってからも、元AV女優を含むAV女優の死は色々なものがあります。
- 2002年10月には桃井望が他殺
- 2004年8月には倉沢七海が自宅のマンションから飛び降り自殺
- 2005年6月には林由美香が変死
- 2007年7月には美咲沙耶が自宅で首つり自殺
- 2008年4月にはタレント出身の麻生美由樹が硫化水素自殺
- 2008年12月には飯島愛が病死
- 2010年10月にはAYAが飛び降り自殺
- 2011年1月には若瀬千夏が過労死
などです。
特に桃井望とAYAに関しては非常に話題を呼びました。
桃井望は当初自殺とされていたのが他殺と確定し、AYAも自殺とされているものの他殺の可能性が示唆されているからです。
話題を呼んだ事例を掘り下げてみましょう。
桃井望は殺された?
桃井望の死は、一番初めには自殺とされ、すぐに変死・怪死とされ、最終的には他殺と断定された衝撃的な事件です。
2001年にロリと美乳を売りにしてデビューした桃井望は、美少女もので知名度を獲得し、当時はまだ粗いモザイクの作品も多かった中で薄消しの作品にも登場し、企画単体女優として圧倒的な人気を誇っていました。
人気絶頂のAV女優の死と、遺体発見現場ではあまりにも不自然な点が多かったことなどから、当時大きな話題をよんだ事件でした。
事件の概要は以下の通りです。
2002年10月12日の午後9時前、長野県塩尻市内の奈良井川河川敷において、車が燃えているという通報を受けた消防署員が駆けつけると、沈下した車の後部座席からは男性の焼死体が発見され、さらに車から10メートル地点で女性の焼死体が発見されました。
車のナンバーから遺体を特定したところ、男性は市内に住む会社員Sさんであり、女性は男性と交際していた桃井望と特定されました。
桃井望とSさんは高校時代の同級生であり、学年は違いますが2001年から交際を開始していました。
事件の数日前に桃井望は撮影の合間を縫って帰郷し、Sさんと会ったようです。
地元記者の記述によると、桃井望の頭部には刃物によるキズが数か所みられ、これが致命傷になったとみられます。
当初、塩尻署は無理心中事件として処理したのですが、頭部のキズの他にもあまりにも不自然なことが多かったのです。
不審な点を見てみましょう。
- 二人の遺体が素足であり、靴が自宅に残されていた
- 自宅のパソコンの電源が入ったままであった
- 事件直前にSさんからバンド仲間へ翌日に予定されていたライブに関するメールが送信されていた
- 自動車の所有者であり運転手であったSさんが後部座席で発見された
- 二人とも事件以降の日に知人と会う約束をしていた
- 灯油をまいて着火しているはずなのに、灯油のタンクが発見されなかった
- 事件は無理心中であり、Sさんが桃井望を刺したと思われていたが、Sさんは右利きであるにもかかわらず左手に包丁が握られていた
以上のように、無理心中にしてはあまりにも矛盾点が多すぎるため、他殺としか考えられない状況だったのです。
他殺にしてもあまりにお粗末であったからか、または何らかの事情があったのか、塩尻署はまさかの「無理心中と殺人の両面から捜査中」という曖昧な見解を出しました。
今となっては、厄介事を避けたがる警察の体質からか、結局は捜査が行われていなかったようです。
事件にならなかったためにマスコミの動きも鈍く、取材を続けたのは東京スポーツの記者だけでした。
ならば、AV業界は?と思うでしょうが、それまで毎月のように桃井望のヌードを掲載していたAV専門誌までもが口をつぐみ、どの媒体も事件について一言も触れませんでした。
このことから、当時はまだ多くの闇を抱えていたAV業界が直接的あるいは間接的に関与していた可能性が高いと言えます。
事件にならなかったとはいえ、やはりAV女優と死は世間の関心ごとになりやすいもので、しかもこの事件では矛盾と情報不足という要素を持っていたため、インターネットを中心に話題になりました。
確実な情報が得られず、矛盾だらけの怪事件はいつの時代もネット住民の話題のタネとなるものです。
特に掲示板などでは、刑事気取りのユーザーが様々な仮説をたてました。
ネット上の仮設では、AV関係者を犯人とする説が広く流布しました。
しかし、一方で他殺の方法の中でも残忍な方法である焼殺は立件されれば極刑になる可能性があるため、そこまでのリスクを犯す意味がわからないとして疑う意見もありました。
結局は捜査本部が置かれることはなく、事件は「多分無理心中だろう」ということで迷宮入りすることになりました。
捜査の対象が触れるべきではないと判断されたためか、それともその事件の真相を暴こうとすればどこからか圧力がかかるからか、捜査打ち切りの理由はよくわからないのですが、事件の真相が不明なままとなったことが、その後のAV業界の動きに影響を与えることとなりました。
AV業界がクリーン化するきっかけとなった
この事件は、AV業界を震撼させました。
たしかに、AV業界で仕事をしている人たちは、AV女優も、監督やカメラマンなどのスタッフも、グレーゾーンを持っている特殊な業界であると自覚しています。
見えない闇、業界の裏があることを知っています。
しかし、まさか人が殺されるような危険が潜んでいるとはほとんどの関係者が思っていなかったことでしょう。
しかも、捜査が迷宮入りしたこと、矛盾と情報不足があること、桃井望の家族は一切の取材やコメントを断ったこと等によって、憶測が憶測を呼びました。
同じ業界で働いていながら、「実はこの業界は、思っている以上に危険な業界なのかもしれない」という不安を抱いた人も非常に多かったことでしょう。
もし殺人事件として取り上げられれば、残虐な事件としてマスコミも騒ぎ立てたことでしょうが、AV関係者からはまったく情報が流れることはありませんでした。
もしも業界内の闇の部分が桃井望を殺したならば、余計な情報を流してしまうと自分もその闇に巻き込まれてしまうかもしれないという恐怖感にとらわれたからです。
この事件以前は、確かに暴力性を秘めたプロダクションが、AV女優に対してプロダクションの都合を強制するというやり方が行われるということも実際にありましたが、そのような行為は、この事件以降影をひそめることになりました。
他殺の可能性を示唆する様々な憶測が流れ、業界内外から恐ろしい業界であるという認識をもたれてしまった以上、なおも強引な手段を取ってしまえば「やはり危険な業界だ」と思われることで業界全体の損失になるからです。
桃井望の事件は、結局他殺ということが確定することになります。
捜査に当たった塩尻署はかなりの無能であったのか、無理心中の可能性が高いとSさんの両親に話していました。
しかし、両親には自殺する動機が全く見当たらないため、塩尻署に捜査本部の設置を求めました。
しかし、塩尻署がこれを却下したため、せめてSさんの名誉を回復するためにも、生命保険金の支払を拒否した住友生命を相手取って裁判を起こしました。
裁判の結果、松田浩養裁判長は判決で
「突発的に自殺を決意し、交際相手を殺し車に放火したと合理的に説明することは極めて困難。第三者に殺害されたと考えるのが自然」
という判決を下し、他殺を認定しました。
そして住友生命からは約3500万円の保険金支払いが命じられました。
しかしながら、この判決が下ってもなお塩尻署は「無理心中か他殺の両面で捜査する」という結論を下しています。
この一連の流れを見て、警察の捜査が甘かったのは桃井望がAV女優だったから、適当にあしらわれたのだと考えられても仕方のないことでしょう。
公的機関でありその働きによって治安を維持する役目を担っている警察がそのような意図のもとに捜査を十分に行わなかったのであれば、AV女優が軽視されている風潮がこれほどよく現れたことはないと言えるでしょう。
AYAの飛び降り自殺
AYA自宅マンションから飛び降り自殺をしたのは2010年10月23日のことです。
元々タレントからのAV転向であり、小室ファミリーとして活動していた経歴を持っていたことから、AVデビューしたときには話題をあつめたAV女優であること、また様々なジャニーズタレントと浮名を流していたことから、この事件も様々な憶測を呼びました。
ジャニーズタレントでAYAと関係があったとされている人は少なくありません。
TOKIOの長瀬智也、関ジャニ∞の渋谷すばる、タッキー&つばさの今井翼、そして嵐メンバーの全てと関係があります。
嵐メンバーとのうわさは特に強烈なもので、松本潤が中学2年生で関係を持ったこと、大野智と親密な関係にあったこと、二宮和也とセックスフレンド出あったこと、2003年ごろに相葉雅紀と同棲していたなどです。
ジャニーズタレントは女性にとってのアイドル的存在として活動することを生業としています。
それだけに、女性関係には非常に敏感です。
そのため、AYAと数々のジャニタレの関係はジャニーズ事務所にとって悩みの種であったことに違いありません。
しかも、そのAYAがAV女優になったのですから、悩みはさらにましたことでしょう。
そして、自殺前にAYAは自分の恋愛遍歴や芸能界の裏事情を暴露した本を出版することを計画していたとされます。
もしそれが実現すれば、ジャニーズが大痛手を被ることは間違いのないことでしょう。
これによって、ジャニーズ事務所の差し金でAYAは死に追いやられたのではないかと噂されているのです。
AYAの自殺に関しても、桃井望の時ほどではありませんが色々な不自然な点がありました。それらの不自然な点を挙げていくと、
- 自殺現場で非常ベルがなっていた
- AYAがベランダにぶら下がっていたという目撃証言がある
ということです。
もし自殺であるならば非常ベルを鳴らす必要はなく、何者からか襲われて危険を感じたために非常ベルを鳴らしたと考える方がしっくりとくるでしょう。
AYAは突き落とされた可能性があるのです。
AYAの死んだ翌月、嵐メンバーが紅白歌合戦の司会を務めることが決まりました。
それに伴い、週刊文春ではAYAと嵐メンバーの過去の関係を掲載しました。
これによって、色々な憶測が流れたのです。
桃井望の時と比べれば不自然な点が少なく、自殺としてしまえばそれが覆るほどの情報もありません。
これによってAYAは飛び降り自殺をしたものとされていますが、それにしてもインパクトの強い事件でした。
AV女優と死
このようにAV女優が死んでいる事実を持って、AV女優になっている女性の多くが不幸であり死にたいという願望を抱いていると思うのは違うでしょう。
日本は先進国の中では特に自殺願望者と自殺者が多い国であり、これはAV女優以外の職業でも同じことです。
一般の芸能界においても、数年に数人くらいは自殺者が出ているものです。
しかし、冒頭にも述べた通りにAV女優が死んだ時にはことさら面白がって騒がれることとなり、彼女たちが不幸の末に死に、他のAV女優も総じて同じような状況であると書きたてられるために、そのようなイメージが定着してしまっているのです。
現代はあらゆる人種において自殺願望者を増やしているのですから、以前に比べると死にたいと考えるAV女優は増えているのかもしれません。
業界のクリーン化で犠牲になった人たち
AV業界は極端に収縮して製作費の引き下げはとどまるところを知らず、クオリティが低い女性は意稼ぐことができなくなりました。
末端の企画女優に至っては生活費を稼ぐこともままならないと言う末期状態となっており、これは現在もまだ続いています。
桃井望事件などを経て健全化へ動き出したことで、良い面も非常に多かった一方で、はじき出されたAV女優も存在しました。
これはAV女優だけではなく、プロデューサー、AV監督、男優、カメラマン、デザイナーなど色々な人が当てはまります。
作品の高クオリティ化についていけなかった人たちはどんどんはじき出されていったのです。
健全化にともなって起こった著しい高クオリティ化は、多くの女優の居場所を奪っていくこととなりました。
それが悪いと言うのではありませんが、確かに居場所を失うAV女優が増え、「死にたい」と思うAV女優が健全化の流れで一時的に増加しました。
2000年代はまだ今のように自らAVに志願してくる女性もそう多くはなく、まだまだAVがセーフティネットとして機能していました。
心を病んで自虐行為を行ったりしていた女性が、その線を越えて最後の救いとしてAVに出演することで居場所を得ていたことも多かったものです。
そのような女性が業界の健全化とともに淘汰されようとしていたのですから、絶望感を抱き、真剣に死を考えるようになったのです。
誰からも認められずに生きてきた女性がAVに出演することによって認められ、その証拠にお金を手にすることができた世界から追いやられると言うことは、その女性にとっては自分を認めてくれた唯一の世界の崩壊であり、死にたいという願望を抱く人が出てくるのも仕方のないことです。
そのような中、実際に一線を越えて死んだ女優を挙げるならば、美咲沙耶でしょう。
首を吊った美咲沙耶
美咲沙耶は、そのキャラの通り天真爛漫で明るく前向きな性格の持ち主でした。
死にたい願望を抱いていたAV女優が多かった中で、実際に本当に死の一線を越えてしまったのは美咲沙耶だけです。
明るく前向きな人と自殺は無縁のように感じますが、そうではないケースも多々見られるのです。
自ら命を断つためには、高いところから飛び降りたり、首を吊ったりすることで自分で息の根を止めなければなりません。これは大変なことです。
よく識者ぶった人間が「死ぬ気になればなんだってできる」などと励ましますが、こんな無責任な言葉はないでしょう。
絶望感を抱いて毎日を生きていくのが辛いのは間違いのないことですが、自ら命を断つことの方がはるかに難しいと言えます。
これは体験した者にしかわからないことです。
筆者も過去に2度首吊りの経験がありますから、少なくともそれをしたことがなく自殺を論じる者よりは美咲沙耶の心境にシンパシーを抱いています。
もう死んでやると決めているにもかかわらず、首吊りの輪をいざ目の前にするとなかなか一歩が踏み出せず、30分も1時間も時間がかかってしまいます。
もう死ぬと決めているのですから悩むことはないのですが、未知の世界への恐怖心からなかなか行くことができず、勇気を振り絞って一歩を踏み出すことになります。
首のうまいポイントに掛かった時にはすぐに意識が飛んでしまい、よく言われるように気持ちよさを感じることはありません。
筆者の1回目がこれでした。
しかしヒモの結びが緩かったため、落ちて未遂に終わりました。
うまいポイントに掛からなかったときには非常に苦しく、吊った状態で目が覚めてしまいました。
筆者の2回目です。全身が痛く、脳に酸素がいっていないものですから、自分が何をしているのかわからずに首吊り前に立っていた地点に戻ってしまいました。
それ以降に3回目を考えることもありましたが、簡単な方法として知られる首吊りもあまり簡単な方法ではないと知ると、なかなか踏み切れずに今まで生きているような状態です。
自殺願望を抱く人は何らかの不安定な病を抱えているものです。
AVに最後の救いを求めたにもかかわらず、思ったほどの成果を得られなかった女性は、最後の望みも断たれることでさらに悩んで弱ってしまい、なかなか死の一線を越えることは難しいのでしょう。
しかし、美咲沙耶のように元気で前向きであり、その元気さでAV界でも生き抜いているような女性であったからこそ自殺に成功したと言えます。
死の一線を越えることに前向きとなり、持ち前のパワーで死の一線を越えたように見えます。
低俗な雑誌にまどわされるな
以上のことからも、B級メディアの書き方がいかに誤りに満ちたものであるかが分かります。
B級メディアでは死んだAV女優たちが性搾取をされて傷つき死んでいるように書き立てるのですが、AVで成功して成功が得られている女性であればあるほど自殺とは無縁です。
しかも、性搾取されて弱り切ったから自殺をしたと言うのではなく、どんな職業かと言うことは無関係に、自分の意思を貫徹する能力の高い人間は常に自殺を図っているということです。
幸か不幸か、何かに悩んだ末に自殺を図り、成功してしまったというケースであると言えます。
しかし、自殺をした人というのは、悩み抜いた末に自殺という結論を導き出しており、それが今のその人にとって最善の選択と信じて実行するのですから、本人のみにとっては成功して不幸だったと言うことはないでしょう。
周辺の人々の悲しみや、明るい未来が待っていた可能性もあることを考えれば完全に肯定もできませんが、世の中に絶望した人にとっては周辺の人々や明るい未来などは完全に見えなくなっているものであり、それを棄てることが不幸と思わないため、本人のみの幸福を考えるならば、不幸とは言い切れないでしょう。
AV女優になれる確率は決して高くはありません。8割を占める企画女優の半分以上は仕事にありつけない状態です。
専業になれば生活に困る状態であり、精神的に問題がある女性は採用さえされません。
脱げば稼げて当然であった時代はすでに終わり、満足に仕事がない状況に絶望して精神状態が弱った女性がいます。
AV業界のみではなく、働いても働いても貧乏から抜け出せないワーキングプアの状態においては自殺願望を抱く女性が多いものですが、これがAV女優たちにも起こっていると言うことです。
こうして悩み鬱状態になると、ネガティブな精神状態に陥り、悩みの末に「死にたい」という願望が芽生えてくることとなります。
この願望が芽生えた時、勇気を振り絞って実行できた人だけが自殺に成功します。
それ以外の人はそもそも実行に移すことができません。
この傾向は根拠のないことではありません。
上述の美咲沙耶が前向きで元気な性格であったこと、硫化水素自殺をした麻生美由樹がタレント出身でお笑い芸人とセックスしまくっていたこと、飛び降り自殺をしたAYAがジャニーズ喰いとされるほどにアクティブであったことなどが裏付けとなっています。
美咲沙耶のことは、本人がブログをしていたことや、本名で書いていたSNSの日記が残っているため、死に至るまでの精神状態を知ることができます。
2007年7月6日に首つり自殺をしていますが、その背景にはどんなに頑張っても人気AV女優になれなかった悩みがあり、その悩みの途中で唯一の支えであった彼氏を失ったことで精神崩壊が始まっています。
2006年5月のブログでは、酒に逃げて良くわからない薬をODしたことが書かれていますが、これは単体女優から企画単体女優へと企画落ちしたときのブログ記事です。
うつ傾向があることは明らかであり、心療内科に通っていることもブログから分かります。
そして自殺の3日前にはSNSで彼氏とわかれたことを酷く後悔する日記を書いており、自殺に踏み切っています。
精神的に崩壊していたことや自殺願望が窺えるものの、それが決定的であると思わせるような文章は含まれておらず、周囲からすれば本当に死ぬとは思っていなかったことでしょうが、自殺とは常にそういうものであり、本気であれば止められることを恐れて人には言わずに実行に移すものなのです。
ちなみに、美咲沙耶が心療内科に受診した結果、健康体であり精神的に少し疲れているだけであると言う診察を受けています。
ボンクラな医者が彼女が追い詰められている事実を軽視したとも考えられますが、少なくとも人格障害や重度の精神病ではありませんでした。
AV女優と死は身近か?
確かに、AV女優と死は身近な関係にあるのかもしれません。
この理由の一つとして、AV業界が刺激の強い世界だからということが挙げられるでしょう。
AV女優の中には性的好奇心を動機としてAV女優になる女性は少なくありません。
性的な刺激を求めてAV女優になるのですが、元々グレーゾーンの業界であり、その中につかるうちに、知らず知らずのうちに価値観や距離を置くべきものの対象が変化してきます。
そもそもセックスを職業とすること自体が、昔は異常とされていたことです。
しかし、最近は業界の健全化によって、健全化された中でセックスをする職業となりました。
このことから、本来はグレーゾーンの業界ですから、多少の警戒心はもって活動するに越したことはないのですが、環境によって感覚がマヒしてしまうのです。
また、AV女優はプロダクションが囲い込み、商品として撮影現場に送り込みます。
不都合な情報は女優の耳には入りにくい構造が出来上がっており、少ない情報によって正しい判断もできないままに撮影現場ではセックスを繰り返し、いつしか感覚はマヒしていきます。
すくなくとも、AV女優になる前に一般社会にいたころに比べれば、確実に感覚は変化します。
刺激的な毎日が当たり前になるため、AVを引退して刺激の薄い一般社会で生活することなど考えられなくなってしまいます。
刺激に対してマヒしている人ほど無意識のうちに死に対する自覚を持ちにくいものであることを考えると、AV女優たちは一般の人たちよりも死に近い存在であるのかもしれません。
それが本当に自殺してしまうかどうかは別ですが。
人の死を面白がる人は絶えない
ネットが普及した現代において、ささいな美談が取り上げられて話題を呼ぶことが多くなりましたが、これを持って人間の心を完全に肯定することも難しいでしょう。
どのような人であれ、その人の死を一種の楽しみを持って見る人が非常に多いのです。
花を見て美しいと思うのも人間の心であり、美しいものを美しいとする人間の心もまた美しいものには違いないのですが、美しい心の裏には汚い心も潜んでいるのが現実です。
人間とはそのような汚い心も持っているものであり、その人間が作り出す世界で汚い職業を認識されている以上、AV女優の死を面白がる風潮はなくならないでしょう。
特にAV女優の死は話題性が満載なので、あることないことマスコミが書き出すのです。
それを真に受けた人がネット上で色々な意見を言う。
「意見」と「事実」はまったく別で、それを分けて情報を取捨選択する必要があります。