元AV女優が語る、AVの色々な面接とは(3)監督面接
AV女優と一般の職業との違いは実に様々ですが、面接もその一つです。
AVには色々な面接があり、ここでは監督面接がどのように行われているかを見ていきます。
監督面接は打ち合わせ
AV女優が行う3つ目の面接は監督面接です。
プロダクション面接に受かってプロダクションに登録し、メーカー面接を受けてキャスティングされれば、作品を制作する監督と面接を行うのです。
これは、面接といっても打ち合わせの要素が強く、一般的にはすでにキャスティングが決まった後に行うため、合否を伴うようなものではありません。
(もっとも、監督面接の結果、期待していた演技ができそうもないと判断された場合にはキャスティングが取り消しになることもあり得ます)
監督は制作会社に所属している監督、フリーで活動している監督であるほか、メーカーのプロデューサーが監督を兼任していることもあります。
監督面接は、単体女優でも企画女優でも、必ず経験するものです。
プロダクション面接やメーカー面接の形態がほとんど似通っているのに対し、監督面接は監督によって方法にばらつきがあります。
電話やFAXで簡単に済ませることもあれば、会議室で1時間以上を掛けて行うことも珍しくありません。
監督が作品にかける思いが強ければ打ち合わせが長くなりますし、キャスティングするAV女優が未経験のジャンルであったり、まだデビューしたばかりで経験が少ない女優である場合には時間をかけて行われることが多いようです。
NG項目の確認に重点が置かれる
監督面接で監督が必ず詳しく行うのが、NG項目の確認です。
メーカー面接の際には、キャスティングの機会を得るために(メーカーの心象を良くするために)、多くのAV女優が実際には不可能な内容も可能として面接を受けることが多いものです。
しかし、実際に現場に来てその内容の撮影を要求したところ、AV女優がやっぱりできないとしてトラブルになることがあります。
そうなってしまえばメーカー側は再びキャスティングする必要があり大変な損害を被るため、このような事態を回避するためにもNG項目の確認は詳しく行うことになるのです。
特に、SMの撮影に際してはより詳しい確認を行います。
これは、メーカー面接の際にはソフトSMまでならできるか、ハードSMもできるかという確認しかされず、ハードSMに伴う様々なプレイの詳細は確認されないからです。
ハードSMでは縄で縛る、ロウソク責め、鞭打ち、水攻め、排泄物責めなど普通の人ならば目を背けてしまうような激しい凌辱が行われることがあるため、ハードSMのなかでもどのプレイはNGかを詳しく確認します。
打ち合わせでは、NG項目の確認以外にも、当然ながらその他の確認も行われます。
例えば、当日は集合前にメイクをしてくるのか、それとも現場のメイク室でメイクをするのか、持ち物の有無なども確認されます。
この打ち合わせの内容をもとに監督は脚本を書いていき、脚本が仕上がったらプロダクションにFAXで送り、最終確認が行われます。
監督が女優を知るための場
単体作品の場合には、作品内容について監督に全て任せるというメーカーも多く、そうなれば監督はその女優の魅力を最大限に引き出すためにも、監督面接を通じてその女優のことをくわしく知り、作品の構想を練る必要があります。
また、監督の中には大まかな脚本だけを撮影の前日に書きあげる人も多く、監督面接から脚本執筆に至るまでに構想を練るにあたり、漠然としたAV女優の印象が作品の内容に大きく反映されることも少なくありません。
AV女優が監督面接の際に話した色々な性的エピソードの中から、面白いと感じたものをそのまま作品内容に反映するようにです。
つまり、監督面接はNG項目の確認を含めた打ち合わせのほか、面接を通してAV女優の事を知り、そこから発想を得て作品内容を練るという二つの要素があると考えることができます。
作品構想はどうやってできるか
作品構想を練るためにも重要な監督面接ですが、監督が女優に対しての質疑応答に重点が置かれます。
この意味において、メーカー面接では質疑応答にそれほど重点が置かれなかった企画女優も、質疑応答は詳しく行われることとなります。
そのAV女優がAV女優になった背景や性的嗜好、趣味、経歴などを女優との対話の中で詳しく知り、監督は作品のイメージを膨らませていきます。
そのため、この質疑応答の際にはAV女優は思った通りのことを自由に話すのが通例であり、その内容によってAV女優の評価が直接的に左右されることはありません。
対話によって知ることができたAV女優の様々な面から構想をその場で漠然と練っていくのです。
監督によって異なる監督面接の意味
上に書いたことが監督面接の意味と流れですが、これは監督によって大きく異なるものです。
実際に監督の話や記述を見てみると、既に決まっている女優と打ち合わせや顔合わせをするために行うという意味がある一方で、直接会ってその女優を実際にキャスティングするかどうかを決めるために行う「面接試験」の意味を持たせている場合もあるのです。
これは、監督がメーカーからキャスティングの権限を委任されている場合です。
この場合には、監督が女優に面接を行い合否を判断します。
あるAV監督は、3時間近くも話した結果「この女優はだめ」と判断して不合格にする慎重な人もいれば、短い時間で世間話をする形で監督面接を行う監督もいます。
即決で決めている監督もおり、有名AV監督の溜池ゴローは女優を会った瞬間に5秒程度で合否を判断していると言っています。
監督がキャスティングを行う時には、溜池ゴローのように第一印象で決めている人は多いことでしょう。
なぜならば、監督自身がキャスティングする場合、多ければ1ヶ月に20人ほどのAV女優と面接を行う必要があり、これが大変な仕事だからです。
監督面接でキャスティングの合否を決める場合にはAV女優も緊張しているものであり、監督面接での自由な対談の中から構想を得ていくためには、まずAV女優の緊張を解きほぐす必要があります。
そして、限られた製作費の中で売れる作品を作るためには女優の合否には慎重にならざるを得ず、非常に気疲れするのです。
だからこそ、あった瞬間の第一印象で売れる・売れないの判断をして合否を決めてしまう監督は多いものです。
監督面接が終われば、次は現場での撮影になります。
特殊な撮影内容であれば数日前に脚本が届くこともありますが、多くは前日か当日に脚本が渡され、内容の変更はほとんど行われることなく撮影が始められます。
「内容の変更がない」ということは、「何が何でも内容の変更はしない」ではなく「内容の変更の必要がない状態に仕上げておかなければならない」ということであり、それだけに監督面接はトラブル回避のためにとても大切な役割を持っています。