巨大化する熟女・人妻ジャンル。その秘密とは?
AVは毎日のように新しいタイトルがリリースされ現在の日本では1日換算で70作品以上はリリースされています。
そして、DMMの新作一覧をざっと見てみると熟女・人妻モノの多いことに気付きます。
このように、現在のエロ産業は熟女・人妻を抜きには成り立たないものになっているのです。
見出し
巨大化する熟女AV
AVは毎日のように新しいタイトルがリリースされていますが、現在の日本では毎年どれくらいのAVが発売されているのでしょうか。
驚くなかれ、最近では年間2万本以上という見方が堅いようです。
少なく見積もる説には1万本以上とする説もありますが、日本最大のAV販売サイトであるDMMの2015年3月における発売タイトルは2000本に上ったのです。
これを単純に12倍すると年間では2万4000本が発売されているということになります。
さらに、DMMで販売されているAVがAVのすべてではなく、そのほかにもDMMで取り扱われていないAVも当然ありますし、ネットのみで配信されるAVもありますから、もっと多くのAVがリリースされていると考えてよいでしょう。
1日換算で70作品以上はリリースされているということになり、ちょっと信じられないような規模です。
そして、DMMの新作一覧をざっと見てみると気付くことがあります。
熟女・人妻モノの多いこと!!
2015年3月にリリースされた2000本余りのAVのうち、熟女や人妻といったタグが付けられた作品は約650タイトルにもなりました。
なんと、全体の30%弱が熟女・人妻いうテーマのもとに製作されたのです。
これに対して「美少女」のタグが付けられた作品は251本ですから、熟女・人妻というジャンルがいかにAV業界で大きなウェイトを占めるようになってきているかがよくわかります。
ちなみに、同じアダルトメディアの中で雑誌はAV業界以上です。
Amazonが2015年3月に販売したエロ本は68誌でしたが、そのうち熟女・人妻をメインに扱った雑誌は35誌であり、全体の半分以上を占めました。
このように、現在のエロ産業は熟女・人妻を抜きには成り立たないものになっているのです。
20代後半で「熟女」?
最近は熟女と人妻をひとくくりのジャンルで扱うことが多いのですが、昔はそうではありませんでした。
以前は「熟女」といえば45~65歳の年齢層のことを指しており、「熟年の女性」を縮めて「熟女」と呼んでいました。
しかし、最近のAVでは30代以上の女性も熟女と呼んでいることが非常に多く、AV女優の容姿や妖艶さがそう呼ぶのにふさわしければ20代後半のAV女優も熟女と呼ぶことがあります。
これは、元々AVで活躍していたAV女優の多くが18~20代前半であったことから、AV業界には18~20代前半の未婚の若い女性こそが性の対象であると考え、作品をたくさん作ってきたからです。
熟女や人妻はその他としてくくられることになり、専門メーカーや専門誌においてその他、すなわち熟女と人妻を同時に扱うのが普通となりました。
その結果、熟女や人妻(あるいはその両方)の属性を持つ女性は「熟女・人妻」とカテゴライズされることになったのです。
熟女はいつ始まった?
熟女ブームはごく最近始まったように思われていますが、歴史を紐解けば正しくは再ブームであることが分かります。
日本が第二次世界大戦に敗れてそれまでの価値観の転換を余儀なくされたとき、当然ながらモラルも崩壊し、それと共にエロへの関心が非常に高まりました。
女性も性へ興味を示すことが許されるようになり、まず夫婦間での性に関心が集まり、その後日本が経済復興を果たして余裕が出てくると、夫婦の枠組みからはずれてセックスを楽しむ「人妻」が出てきたのです。
70年代になってから、初めてエロの対象とする年齢が下がっていき、女子大生や女子高生にも関心が広がっていったため、エロの世界は成熟した女性と若い女性が混在するようになりました。
それでもまだ人妻に対する人気は高く、1971年に始まった日活ロマンポルノの記念すべき第一作が人妻ものであったことや、エマニエル夫人が人気を集めたことからもそのことが分かります。
ちなみに、当時公開されたピンク映画のタイトルを調べてみると、人妻をテーマとした作品と女子高生・女子大生をテーマとした作品はちょうど10作品ずつ公開されています。
もっとも、この時代にはまだ「熟女」という言葉は広まっていませんでしたが。
AVにおいても、AV黎明期には人妻ものは人気ジャンルのひとつでした。
全体の2割程度が人妻ものの作品だったのです。
上記の通りピンク映画では人妻ものの人気が高かった当時、AVの製作もピンク映画のスタッフが作っていた影響が大きかったのです。
出演する女優もピンク映画の女優というケースが多かったものです。
当時のAV女優の名前など、当サイトを見ている若い人たちは知らないことでしょうが、愛染恭子というAV女優が大変人気が高く、この女優もピンク映画で人妻を演じて活躍していた女優です。
AV業界で人妻の人気が影をひそめるのは1982年のことです。
若い女性をテーマに撮影した「ミス本番・裕美子19歳」が大ヒットしたことで、AVメーカーは素人っぽい若い女性をこぞって撮影するようになったのです。
幼い顔立ちの女優が人気を博するようになると、わずか数年の間に人妻の人気はほぼなくなってしまい、AVでは可愛い女の子がスタンダードとなりました。
妖艶な雰囲気を持ったアダルトなAV女優もいましたが、そのようなAV女優でも20代前半の女性ばかりだったのです。
熟女趣味はキワモノだった?
AVのスタンダードが若い女優に移り、再び人妻モノが表れて熟女という概念が現れるのは90年代のことです。
80年代末に人妻をテーマとしたAVが徐々に売れるようになり、生活感を強調した人妻ものAVが多くつくられるようになったのです。
それまでAV業界を席捲した美少女モノとは全く異なるもので、女性のリアルな肉欲を描いたことが人気のきっかけでした。
90年に発売された「ババァ~!こんな私でもAV出れますか?」は56歳のAV女優が出演した、当時としては衝撃的な作品でした。
週刊誌などでも大きく取り上げられて話題を呼び、全く想像していなかったヒット作品となりました。
主演を務めた浜野弘子は56歳という年齢もさることながら、お世辞にもスタイルが良いとは言えない(三段腹の中年太り)で、ルックスも見るからにおばさんであり、現代でもゲテモノの部類に入ると考えてよい作品でしたが、それでも話題性があったからこそ異例のヒットとなりました。
この作品に続けて同様のおばさんAVがヒットを記録し、AVのジャンルとして熟女が定着することになりました。
しかし、当時の熟女AVは上記のタイトルからも分かる通り企画ものの作品ばかりであり、キワモノに近い扱いを受けていました。
実際、このころの熟女AVはレンタルショップなどではハードSM、スカトロ、ニューハーフなどといった他のキワモノジャンルと一緒に並べられていたものです。
人妻・熟女が人気を盛り返すまでにはまだ時間がかかり、やはりAVのメインは若いAV女優の作品でした。
女は若ければ若いほど良いというのはAV女優でも同じであり、AV女優も若いほど人気が出やすかったのです。
熟女AVを好んで見るのは一部のマニアだけだったのです。
しかし、熟女に強く反応した業界がありました。
それはエロ本業界です。
エロ本業界では熟女専門誌が続々と創刊されていきました。
もっとも、そのような熟女専門誌を創刊しているのもマニアックなジャンルに強みのある出版社であり、このことからも熟女モノがキワモノ扱いされていた実情が分かります。
ちなみに、このころに熟女ブームが起き始めていたのはエロ業界だけではありません。
このころ熟女といえる年齢の芸能人たちのヘアヌード写真集が多数発売されていますし、風俗業界にも熟女ブームは訪れています。
特に、93年ごろから性感ヘルスやイメージクラブの店舗数が急激に増加し、風俗業界の盛り上がりに合わせて風俗誌も増加し、そのような雑誌で注目を集めた風俗嬢はフードル(フーゾク嬢アイドル)と呼ばれてテレビなどにも登場するようになりました。
そのような流れの中で98年ごろからは人妻を専門とする風俗店が増加していき、AV業界の外でも熟女ブームの芽は着実に育っていたのです。
美熟女の誕生
AV業界の外で熟女・人妻の芽が育っていき、AV業界の中でも同じような変化が起きていました。
大きなきっかけを与えたのはビッグモーカルの「マダム倶楽部」というシリーズのヒットです。
このシリーズは1994年から始まったシリーズでした。
第一作では30代の熟女が出演したのですが、その熟女はそれまでの「おばさん」ではなく、清潔感のある「美人妻」「マダム」というイメージがぴったりのAV女優でした。
これが見事にヒットして「マダム倶楽部」はシリーズとしてもヒットになり、それに勢いを得たビッグモーカルは人妻・熟女を起用したシリーズをいくつも出したことで、熟女・人妻ジャンルが開拓されていくことになりました。
この流れが数年続いたのち、当サイトの記事でもしばしば引き合いに出される溜池ゴロー監督の手によって「義母 まり子34歳」がソフト・オン・デマンドからリリースされました。
それまで、溜池ゴローは美少女単体作品を撮影していたのですが、よりエロいものをと追求していくうち熟女にたどり着いたのです。
この作品は川奈まり子の主演によるものです。
当時は熟女ブームの芽が育っていたとはいえまだまだキワモノであったため、熟女モノAVはどれも企画女優を起用したものしかなく、先述の「マダム倶楽部」にしても数人のマダムを起用して撮影されたオムニバス作品でした。
そのような熟女ジャンルに対し、溜池ゴローは熟女AV女優を単体として扱う作品を持ち込もうとしたのです。
誰もがそのアイデアを陳腐として一笑に付したのですが、ソフト・オン・デマンド社長の高橋がなりだけは受け入れてGOサインを出しました。
川奈まり子は知的な美貌としっとりとした大人の色気を併せ持つ熟女であり、「自分でもエロいと思える作品を撮りたい!」と熱望していた溜池ゴローは川奈まり子に一目ぼれ。
川奈まり子はAV女優のクオリティが上がった現在でも色気を感じることができる熟女AV女優であり、引退後の今はライターとして活躍しているため知っている人も多いかもしれません。
後に二人は結婚することになりますが、溜池ゴローは迷わず川奈まり子を起用することにします。
多くの人に否定されたアイデアではありましたが、当時の熟女AVには考えられない予算をかけて製作されました。
その結果、業界の大多数の予想を裏切って大ヒットとなり、販売総数は2万本以上という大ヒット作品となりました。
熟女ブームの芽は着実に育っており、美しい熟女の単体作品を見たいと思っているユーザーが非常に多くなっていたことが分かります。
多くなってはいましたが、熟女好きはキワモノ・変態・マニアックとされていた当時、誰も「熟女が好きだ!」とは言うことができず、ニーズが表に出てくることがなかったのです。
「義母 まり子34歳」の大ヒットによって、川奈まり子は超人気女優となりましたが、当時では牧原れい子という美熟女の人気も高く、この二人の美熟女AV女優がけん引する形で、AV業界に美熟女ブームが巻き起こることとなりました。
ちなみに、熟女と痴女がセットになって作品作りが多い熟女モノですが、これは熟女ブームと同時期に痴女ブームが起こったからという理由があります。
また、熟女は肉欲を爆発させるエロい姿が似合い、熟女ファンの男性は年上の女性に優しくされながら抜かれたいという願望を抱くケースが多いことも、熟女=痴女という受け取られ方に繋がりました。
つまり熟女に癒しを求める男性が多いという事ですが、この点に関しては後でさらに深く掘り下げてみます。
熟女ブームの過熱
2000年代初期、AVに美熟女ブームが巻き起こると、レンタル系のメーカーでもセル系のメーカーでも熟女もののリリースが相次いでいるなか、2003年に熟女・人妻の専門メーカーとしてマドンナが誕生します。
マドンナではこれまでも多かった企画ものはもとよりドラマ物も豊富にそろえており、人気の熟女AV女優を次々とキャスティングしていくことで熟女AVのパイオニアとなりました。
マドンナは熟女の概念を押し広げるのに貢献しました。
つまり、熟女AVが普通のオバサンをキャスティングするマニアックなものから始まり、次に綺麗な熟女へと進んで熟女ブームへとつなげたことに加えて、ロリ熟女という枠も生み出したのです。
これは2004年の松本亜璃沙のデビューによるもので、30代という熟女としての年齢でありながら幼い顔立ちを持っているという矛盾が生み出した枠でした。
そして、80年代に活躍したAV女優たちが熟女の年齢となって再び活動するようになりました。
若いAV女優こそ至高とされていた時代はAV女優の寿命は短くならざるを得なかったのですが、熟女AVが活発化したことによって、AV女優の寿命が大きく延びたのです。
かつて人気を博した彼女たちは、熟女とし復活して往年のファンを喜ばせることとなりました。
ちなみに、現在熟女界のトップスターと言えばアラフィフの翔田千里ですが、彼女がデビューしたのもまさにこのころ、2005年のことでした。
2006年になると熟女AVの開拓者・溜池ゴローがレーベル「溜池ゴロー」を立ち上げ、ケイ・エム・プロデュースでは「Nadeshiko」が、ソフト・オン・デマンドでは「WOMAN」が立ち上げられ、それらのレーベルでも熟女というジャンルのさらなる開拓が試みられました。
また、それまでは素人モノやロリをメインに扱っていたメーカーでも熟女モノを取り扱うケースが増え、AV業界全体で熟女AVは完全にブームとなりました。
マニアックなジャンルであった熟女AVが、AV業界における一大ジャンルとなったのです。
先述の通り、AV業界よりもさらに過熱していたのがエロ本業界でしたが、この時もまだジャンルの拡大は止まっていません。
マニア誌としての熟女専門誌が増えるだけではなく、コンビニ販売されるエロ本のなかでも熟女メインの雑誌が増えてきたのです。
コンビニで扱われる雑誌は多くの大衆を顧客として意識したものですから、このことから熟女へのニーズがいかに大きくなっていたかが分かります。
「若妻」ってどういうもの?
熟女AVの可能性を広げるべく様々な試行錯誤が繰り返される中で、人妻・熟女ジャンルには一つの変化が起きます。
それは「若妻」の台頭でした。もっとも、若妻AVは新しく誕生したジャンルというわけではなく、ブームにならなかっただけで古くからそのような作品はありました。
しかし、それが2010年代になって急速に増えていったのです。
熟女・人妻を専門とするメーカーは、それまでは熟女で撮影するか、熟女兼人妻で撮影した作品ばかりでしたが、若いAV女優を起用して若妻モノを製作し始めたことによって、熟女・人妻ジャンルが若いAV女優も取り込むようになったのです。
特にこの転換が起きたのは2010年に当時22歳の浜崎りおをキャスティングし、マドンナがリリースした「夫よりも義父を愛して・・・浜崎りお」です。
浜崎りおは熟女・人妻とは程遠く、むしろギャルのイメージと巨乳で大人気だったAV女優であったため、人妻を演じるのは違和感あるキャスティングでした。
キャスティングを担当したディレクターはクビを覚悟で撮ったそうですが、結果的には大ヒットして若妻というジャンルが一気に開かれることとなりました。
それ以降、マドンナは様々な若い女優を起用して若妻モノをリリースしていくことになります。
例えば成瀬心美、有村千佳、つぼみなどの人妻というイメージを全く売りにしていない人気女優たちでしたが、この流れに乗じて他のメーカーも若妻モノのリリースを増やしていきました。
また、当然ながらここで活性化した若妻というジャンルを中心に活躍する20代のAV女優も増えてきました。
菅野しずかや森ななこなどがそれに当たります。
特に、森ななこはデビュー当初は単体としてデビューしたもののそれほど売れていませんでしたが、若妻を演じるようになってからブレイクしました。
そんなケースもあります。
ちなみに、若妻の元祖といえば風間ゆみです。
彼女のデビューは1997年でしたが、18歳の当時から若妻役で出演していました。
それがこの時代のニーズにマッチして人気が爆発し、2007年には彼女の出演作品は年間で100本を超えるまでになりました。
2007年には彼女の年齢はまだ28歳でした。
熟女ブームに合わせたAV女優達の動き
熟女・人妻・若妻といったジャンルが拓かれたことによって、AV女優の寿命は延びていきました。
キャリアを積むにつれて人妻役を演じることが増えていき、次第に熟女・人妻ジャンルを主戦場としていくAV女優は多いのです。
しかし、若妻というジャンルも出てきたことによって、そのシフトチェンジをいつ行うかの判断は難しくなっています。
熟女・人妻ジャンルが巨大化したことによって、早めにそちらにシフトして新たなファンを開拓した方がいいと考えるAV女優やプロダクションは多いようですが、転身したところファンの反応が思わしくないというケースもあります。
また、AV女優の中には熟女・人妻ジャンルに食い込むためにプロフィールの年齢を実年齢より上に設定する逆サバ読みをするAV女優も増えています。
このような設定は、若さを売りにするには少し遅く、あるいは容姿がそれにふさわしくなく、また熟女として売り出すにもまだ年齢が足りないAV女優が使う設定です。
例えばそのような女性が20代半ばであったならば2~3歳逆サバ読みして人妻のイメージで売り出しやすくするのです。
このことからも分かる通り、現在のAV業界では20代半ばの女優が最も売れにくくなっています。
18歳から20代前半は若さで売ることができ、20代後半ならば人妻で売ることができ、30~40代ならば熟女で売ることができるのですが、20代半ばという年齢はニーズの開拓がまだ進んでいないのです。
熟女と癒し
さて、先にも少し熟女に癒しをもとめる男性たちの話をしましょう。
なぜこれほどまでに熟女・人妻の人気が高まったのかを考えると、色々と疑問が起こります。
80年代にはそのようなニーズはほぼ皆無であり、90年代にはマニア扱いされていたのです。
最も大きな理由は、ユーザーが高齢化したことでしょう。
現在、AVを買っている主な年齢層は30代後半から50代の男性であり、40代を中心としています。
AV黎明期からのファンというケースも多いです。
そのような男性にとっては、若いAV女優は無縁の存在であるためファンタジーに近いものであり、場合によっては自分の娘と同じくらいの年齢のAV女優で興奮するのは難しい男性は多いものです。
しかし、自分の年齢と近いAV女優の作品は自然でありリアルに感じられるのです。
もちろん、キャバクラもこの年齢の男性が多く、若く綺麗な女性とのコミュニケーションを楽しんでいることから、若い女性が嫌いなわけではないのです。
しかし、自分のペースでその若さを楽しむのは良いのですが、セックスという本能的な部分で、その弾けんばかりの若さを目の当たりにすると疲れてしまいます。
そこで、そのような弾けるエロさよりは癒しを求めてしまった結果、熟女AVがふさわしくなるのです。
また、現在は年上好きの男性が増えているのも熟女AVの人気を後押ししていますが、そこでも癒しは重要なキーワードとなっています。
最近は「草食系男子」という言葉に代表されるように、奥手の男性が増えています。
そのような男性は若い女性にガツガツすることなく、また若い女性からガツガツされることも好まず、熟女からしっとりと優しく癒されたいという願望を持っているケースが非常に多いのです。
このような男性の内面的な変化によって、熟女の人気が高まったのです。
熟女AVでも熟女や人妻から誘惑されるというスタイルが基本となっており、男性は常に受け身です。
ハイクオリティになる熟女AV女優
また、このブームによって熟女AV女優が増えていくと、熟女AV女優の母数が増えていったことで、熟女のルックスはかなり上がっています。
これまでにも述べた通り、90年代まではそもそもプロダクションが熟女を扱うことがなかったため、美人な熟女をキャスティングすることはできず、どうしても単なるオバサンを使って撮影するほかありませんでした。
初期の熟女AVではAV女優がいなかったため、保険の勧誘員に「保険の契約をするから」とスカウトをかけて出演してもらうこともあったそうです。
これが変化したのは2000年代に入って熟女ブームが起こり、熟女を専門とするプロダクションが出現してからのことです。
また、AVに興味を持っていたものの、「AVは若い子の仕事だし・・・」と諦めていた熟女たちも、熟女ブームが起こったことで自分にも可能性があると知り、熟女専門のプロダクションに応募してくることが増えました。
こうして母数が増えたことによって、クオリティが高い美熟女のキャスティングも可能となりました。
有名な女優としては水原梨花、小早川怜子、北条麻紀、友田真希、村上涼子、翔田千里などがいますが、20代の単体女優と比較しても負けないほどのルックスとスタイルを持つ熟女AV女優が増えているのです。
もちろん、90年代同様の「おばちゃん」のようなルックス・スタイルの熟女が消滅したわけではなく、そのような熟女の作品もいまだにリリースされています。
また、そのような熟女の作品に強みを持つメーカーもあり、そのようなメーカーでは50代や60代の熟女作品にも人気が集まっています。
そう考えると、熟女・人妻というジャンルは20代の若妻から60代の超熟女までカバーすることとなり、非常に広いジャンルであることが分かります。
若妻が好きなユーザーには超熟女というジャンルを理解できないでしょうし、また逆もしかりです。
熟女・人妻ジャンルはそれほどまでに大きなジャンルとなったのです。
ドラマ物が多い
熟女・人妻ジャンルの特徴の一つに、他のジャンルに比べて圧倒的にドラマ物が多いということがあります。
80~90年代のAVにはドラマ物が多く、単体女優の作品はドラマ物が王道でしたが、2000年代に入るとドラマではなく、短いシチュエーションの絡みを複数セットにした作品が主流となりました。
これはAVがビデオからDVDになったという変化が大きいと言えます。
DVDはボタン一つでチャプターごとに鑑賞することができるため、シチュエーションが細かく分けられた作品に非常に適していたのです。
このチャプター機能によって、ドラマ的な演出は早送りしてすぐに絡みのシーンを鑑賞するユーザーが増えたことで、撮影に時間がかかり脚本などの手間もかかるドラマ物AVが減ることになったのです。
しかし、熟女・人妻ジャンルではドラマ物が非常に多く、そうでない作品でもドラマパートが念入りに作られた作品が非常に多くなっています。
これは、熟女・人妻ジャンルへのニーズは大人の色気へのニーズがセットになっているためです。
大人の色気を表現するためにはドラマ仕立てにすべきであり、熟女でドラマなしのセックスばかり撮影してもウケません。
このことから、熟女・人妻AVはドラマが主流となりました。
実際、マドンナがリリースする作品の9割以上がドラマ物なのです。
不景気なAV業界において、ニーズがないものが作られることはありません。
ドラマ物にしても、そうすれば売れるからこそドラマ物が作られているといえます。
ユーザーは熟女・人妻ジャンルに確実にドラマを求めており、ドラマ部分で手を抜いた作品は厳しく批判されることが珍しくありません。
他のジャンルではドラマシーンを長くすれば批判を受け、「余計な物はいらないから絡みをもっと見せろ」というユーザーが多いことを考えると、熟女・人妻ジャンルのファンは特殊であると言えます。
熟女・人妻ジャンルに求められるもの
熟女・人妻の魅力と言えば、まず熟女特有の熟れた肉体でしょう。
若い女性のぴちぴちとした肉体とは異なる魅力があり、ゆるみやしわを魅力的と考えるのです。
また、年相応のそれではなく、たるみやしわが無いわけではないものの年齢には似つかわしくない綺麗な体というギャップに興奮する人も多いと思います。
これが美熟女や美魔女と呼ばれる熟女たちに求められているものです。
そのため、熟女AV女優たちは若いAV女優達異常に美容や生活習慣に気を使っているものと思います。
熟女・人妻というジャンルの幅は広く、20代は若妻、30~40代は美熟女、場合によっては50代以上の女性も活躍できるジャンルです。
AV女優を志望する若い女性の多くは、若さを生かして活躍しようと考えていますが、そのような若い女性は履いて捨てるほどいます。
競争は激しく、生き残りをかけた戦いに敗れる可能性も高いのです。
熟女・人妻というジャンルは未だ衰えを知らないジャンルですから、若くしてAV女優を志すにしても、デビュー数年後には若妻、そして人妻、やがて熟女と息を長く活動することを考えながら活動していけば、単に若さだけを売りにして行き当たりばったりの活動をしている女優よりは確実に長い活動が見込めます。