AVの製作現場は忙しい!AV女優も楽じゃない
AV女優になりたいと思っている女性は、AV女優の働き方も気になることでしょう。
AV女優は、AVの撮影現場でどのように仕事をしているのでしょうか。
単に、気持ちのいいセックスをしているラクな仕事と考えているならば、それは間違いです。
現在、AVの製作費はどんどん少なくなってきており、それゆえに撮影スケジュールは過密になっています。
そのなかで求められる役割を演じるだけの順応性・協調性・体力が求められる仕事になっているのです。
本稿では、AVの製作費の減少と、それによるAV女優という仕事の大変さにスポットを当てていきます。
製作費は20年前の半分以下
一口に「AVメーカー」といっても、色々なAVメーカーがありますし、それぞれの資金の状況によってもAV製作にかけられる製作費も異なることでしょう。
しかし、AV業界全体の傾向として、市場が縮小傾向にあり、AVはなかなか売れなくなってきているため、製作費もどんどん減ってきているのが実情です。
AV製作にあたっては、AVメーカーが製作するAVの大枠を決め、プロダクションに打診してAV女優をキャスティングします。
その後、AVメーカーが製作会社に製作費を出し、製作会社はその予算の範囲内で撮影や編集、パッケージデザインなどを行なってAVを製作します。
この製作費の中には、撮影や編集にかかるあらゆるコストが含まれており、監督やカメラマンやヘアメイクといったスタッフの人件費、編集にあたる人の人件費、パッケージのデザイン料、スタジオの使用料、AV女優の衣装代、AV男優の出演料、その他の雑費まで含まれています。
この製作費は現在、AV1本あたり100~150万円といったところです。
この中にはAV女優の出演料は含まれていません。
AV女優の出演料は、AV女優本人に支払われるのではなく、そのAV女優が所属するプロダクションに支払われます。
1日の拘束で20~30万円といった場合もありますし、有名AV女優になるともっと高額になることもあります。
AV女優に実際に支払われるギャラは、プロダクションとAV女優の間の取り決めによるものであり、メーカー側でも分からないようになっています。
100~150万円という製作費が、果たして多いのか少ないのか、これは微妙な問題です。
今後も製作費が下がっていけば、100~150万円の製作費が出ていた時代を「あの時代はたくさん製作費が出ていてよかった」と思うこともあるでしょう。
また、20年前のAV業界における製作費と比較するならば、100~150万円という製作費は少なく、長くAV業界で働いている人からすれば、少ないと感じるはずです。
20年前のAV業界では、単体女優が出演する作品では、出演料だけで300万円というケースもありました。
ほかにも、パッケージデザイン料はメーカーが負担してくれたり、製作費だけでも250~300万円は製作会社に支払われていました。
新しいジャンルを開拓するなどの明確な目的があり、メーカーが力を入れる撮影の場合には、400万円くらいの製作費が支払われていたこともありました。
また、現代のAV製作では、製作費削減のために1日で撮影することが多いのですが、20年前は2~3日かけるのが普通でした。
予算から様々なコストを差し引くと、1本のAV製作によって、30~40万円の利益が製作会社に残ることになります。
製作費が潤沢だったころに比べると、撮影現場の状況は厳しくなっていますが、そのような対応によって、利益額は20年前とそれほど変わらないそうです。
なぜ、製作費が少なくなったにもかかわらず利益も変わらないのかと言えば、コスト削減以外にも技術の進歩があるからです。
例えば、20年前のAV製作では、撮影したものを編集所で編集し、音などの調整も必要であったため、自社で編集するのではなく、編集を担う企業への支払いが必要でした。
しかし現代では、それらの編集はパソコンを使えば可能であり、自社で対応できます。
技術の進歩によって、人員を無理のない範囲内で減らすこともできます。
このような対応によっても、経費削減が可能となっているのです。
撮影のあわただしさ
上記の通り、製作費が半分以下になった現在では、AVの撮影は1日で終わらせなければ、たちまち予算オーバーになってしまいます。
このことは、実際のコストの内訳を見てみるとよくわかります。
AV製作にかかるコストのうち、もっとも大きいのがスタジオの使用料です。
ドラマもののAVを撮影するためには、そのシチュエーションに応じたスタジオが必要となります。
例えば、人妻ものの撮影などでは、家庭を舞台に撮影が行われるため、生活環境が整っているハウススタジオで撮影する必要があります。
そのようなスタジオの使用料は、1時間で数万円単位のコストがかかります。
したがって、1時間数万円のハウススタジオを利用しているのですから、30万円程度の利益を残すために予定を組んでいたならば、数時間の超過でたちまち利益を食いつぶすことになります。
そのため、スタジオのレンタルは〇時までと決めていたならば、確実にその時間までに撤収しなければなりません。
このため、どうしても撮影スケジュールは分刻みで進めていくことになります。
標準的な撮影現場の様子で考えてみると、早朝に集合して撮影現場に向かい、到着したらすぐにAV女優のヘアメイクを行ない、昼頃までパッケージ撮影などを行ない、簡単な昼食を取った後に、夜までムービーの撮影をぶっ通しで行うというものです。
2時間、3時間という映像を8~9時間程度の撮影時間で撮るのですから、これはかなり大変なことです。
夕食はアシスタントや助監督が買いだした弁当を食べたり、仕出しの弁当を食べたりするのですが、それもゆっくり食べる時間はありません。
弁当がテーブルに並べられており、スタッフもAV女優も、ちょっと手が空いた時にさっと食べるという形になります。
とにかく、食べられるときにサッと食べなければならないのですから、ゆっくり食べられる現場はなかなかありません。
スタッフももちろん大変ですが、AV女優はもっと大変です。
なにしろ、AV女優は撮影の中で何回もセックスをこなすからです。
プライベートで、楽しみとしてセックスをしていても、何回もセックスをすれば疲れるものです。
それを、AV女優はカメラの見え方を考えたり、監督の要求に応えたり、要求されるものを考えながら動いたりしなければなりません。
しかも、現実のセックスではなかなかやらない、辛い体位でのセックスも少なくありませんし、激しいセックスをすることもよくあります。
1回のセックスが1時間以上に及ぶことも、普通にあることです。
つまり、AVにおけるセックスは、大変な重労働なのです。
それを、スケジュールに合わせて何回もこなします。
これが20年前ならば、2~3日に渡って撮影するのですから、監督が様子を見ながら、AV女優が疲れていそうだと思えば、適当に1時間くらいの休憩をはさむことができました。
今では、それができなくなっています。
そもそも、AVの撮影では疲れた顔でセックスをしてはいけません。
作品のコンセプトによってはそれが認められる場合もありますが、多くの場合、プロのAV女優は疲れた顔を見せないものです。
むしろ、そのような環境の中でもエネルギッシュにセックスを続けています。
今や、このような環境に順応できる、パワフルなAV女優こそが生き残っていけると言っても良いでしょう。
トップクラスのAV女優を見てみると、学生時代にハードなスポーツをしていた女性がしばしばみられますが、体力のあるAV女優ほど有利になるのは間違いないと言えるでしょう。
これが、今のAVの製作現場です。100~150万円の製作費が出るという話をしましたが、作品によってはこれ以上に低予算となることも少なくありません。
低予算でも、2時間、3時間という作品を作らなければならないのですから、もっと苦労の多い現場になることでしょう。
何しろ、1本あたりの予算が50万円以下という現場もまれにあるのです。
そのような低予算の撮影では、そもそもスタジオの利用さえ不可能です。
その場合はどうするのかと言うと、ラブホテルを借りて撮影します。
スタッフもほとんど使えないため、監督がAV男優を兼ねて、ハンディカムカメラを持って撮影します。
AVのジャンルの一つに「ハメ撮り」というものがあり、これは男優がカメラを持って、セックスしながら撮影するという手法で、映像が主観的になるため、ひとつの人気ジャンルとなっています。
よくあるハメ撮りは、街でOLや人妻を演じるAV女優をナンパし、ラブホテルに連れ込んでセックスをするというもので、ドキュメントタッチの作品です。
当然、知名度の高い人気AV女優だと、OLや人妻に扮するのは無理がありますから、名前のない企画女優を起用することになります。
このような作品では、製作費と同時にAV女優の出演料も少ないのが普通ですから、おのずと企画女優しかキャスティングできないとも言えます。
ただし、最近ではこのようなハメ撮りものの作品は飽きられつつあり、売り上げも良くなく、減少傾向にあります。
今後、低予算で製作を依頼された製作会社はいったいどのように作品作りをしていくのかと、疑問を抱かざるを得ません。
まとめ
製作費の減少と、AV製作の現場の様子を知ると、AV女優という仕事の大変さが、また違う角度から見えてくると思います。
AV女優に求められるものは、ルックスやスタイルや色気といった要素はもちろんのことなのですが、このような製作現場で、求められる役割をしっかりとこなしていける順応性や協調性も、かなり求められると言ってよいでしょう。
つまり、これからAV女優になりたいと思う女性は、ルックスやスタイルさえ良ければAV女優になれるのではなく、性格や体力も求められるのだという認識を持つ必要があります。