単体から企画になるとき、AV女優はどのように変化するか
AV女優の活動形態は様々です。
単体女優から企画女優になるとき、AV女優はどのように変化するのでしょうか。
単体女優と企画単体女優の違い
AV女優の活動形態は様々で、初めから企画女優として活動する場合もあれば、単体女優で一定期間の活動を経た後に企画女優に転身して活動していくと言う場合もあります。
単体女優として何年間も活動を継続するのは非常にまれなケースです。
DVDショップのAVコーナーに行くと、一つの作品に一人のAV女優が出演し、その女優の名前がパッケージに書かれているものがあり、もう一つの種類として複数のAV女優が出演するAVがあります。
この前者を単体女優の作品、後者を企画女優の作品として考えられることが多いのですが、これは誤りです。
前者はいわゆる「単体作品」というもので、一人のAV女優にフィーチャーした作品ではあります。
しかし、人気がある企画単体女優を起用した単体作品もあり、必ずしも単体女優が出演しているとは限りません。
単体女優と企画女優の明確な違いは、もっと別のところにあります。
それは、メーカーと専属契約を結んでいるかどうかです。
単体女優は特定のメーカーと専属契約を結んでおり、VTR撮影を行うのは月に1回だけです。
この1回の撮影で100万円前後の高額のギャラを手にすることができるのです。
企画女優にはそのような専属契約がありません。
AV女優全体でみると9割以上は企画女優に属しています。
仕事のやり方も様々で、エキストラとして5万円以下の仕事を月に10本程度こなす人もいれば、なかなか出演機会を得られずに5万円の仕事を2本しかできずに10万円の収入の人もいます。
単体契約が切れた直後の企画女優であれば単体作品に出演することができる(企画単体AV女優という)、単体女優時代よりもギャラは落ちるものの1本40万円程度で出演している人もいます。
単体→企画が好ましい
人気の企画女優は企画単体女優と言われます。
企画女優でありながら単体作品に出演することができる、企画女優の中のエリートと考えると良いでしょう。
企画単体女優は1本出演すれば30万円、40万円といったギャラを手にすることができます。
しかも、専属契約をしておらず出演本数に縛りがないため、単体作品に月に10回出演すれば、300~400万円のギャラを手にすることになります。
したがって、AV女優の花形は単体女優ですが、お金を稼ぎたい女性からすれば単体女優よりも企画単体女優として働きたいと思っている人もたくさんいます。
特に、AV女優のギャラが低下している昨今では、このような考えを抱いている女性は少なくありません。
しかし、やはり業界全体の考え方として、一度は単体女優としてデビューしてから企画女優に転身するのが理想的とされています。
これは、単体女優は過激な内容が少なく、メーカーによって大々的に宣伝されるため知名度が上がりやすいからです。
また、企画女優に転身した後も、元単体女優と言うだけで好条件で出演することができます。
なぜ好条件が出されるのかと言えば、単体女優は容姿が非常に優れた女性ほど結ばれやすいため、「単体女優=ハイクオリティ」と考えられやすく、これが好条件に繋がりやすいのです。
単体女優についての最近の顕著な傾向として、メーカーとの契約期間が非常に短くなってきていると言うものがあります。
単体女優としてデビューしたものの、3ヶ月や6ヶ月くらい単体女優として活動するとすぐに企画女優に転身して活動していくのです。
1年、2寝年といった長期にわたる契約を獲得できるのは一部の特殊な人気女優だけです。
ましてや蒼井そら等のように10年以上も単体女優として活躍し続けている女性は、もはやレジェンドクラスの活躍ぶりと言えます。
扱いは変わり、内容はハードになる?
では、AV女優の花形とも言える単体女優から、その他大勢と言える企画女優に転向したときには、現場でのスタッフからの扱いが激変したり、出演する作品に大きな差が現れることはあるのでしょうか。
この心配はありません。
まず扱いの変化ですが、確かに意識的・無意識的にかかわらず単体女優に対してより気を遣うスタッフはいることでしょう。
しかし、企画女優になったからといって急に気を遣わなくなってしまうと、スタッフから大事に扱われることで承認欲求を満たしている女優も多いため、やる気を失わせ、作品の質の低下を招くことになるかもしれません。
したがって、扱いが急に悪くなると言うことはありません。
変わることと言えば、単体女優は自宅まで送迎し、企画女優にはそれをしないプロダクションもあり、そのような点が変わるくらいのものだと考えてよいでしょう。
次に出演する作品ですが、これもハードな作品に必ず出演する必要はありません。
キャラクターが確立していれば、NG項目は多いままでも出演し続けることができる女優もいます。
しかし、本人がハードなものに出演を希望しなかったり、極端にたくさんの作品に出演を希望したりしなければ、内容をハードにすることは避けることができます。
単体→企画がもたらす変化
AVにかかわる時間が増える
現場での扱いはほとんど変わることがなく、出演する内容も場合によっては変わることがありません。
それでも、やはりメーカーと専属契約を交わして毎月1本の出演だけでたくさんのギャラを稼ぐ単体女優と、毎月の出演本数が決まっておらず1本当たりのギャラが低くなることは、女優の生活や活動に変化をもたらします。
まず、高額のギャラが保証される1本の出演が確実に得られると言うことがないため、来月はどれくらい出演してどれくらい稼げるかというのが予測できません。
少なくとも、今月に受けたメーカー面接とそこから得られた出演依頼にダイレクトに影響されることになります。
したがってたくさん仕事がほしいと思うならば、プライベートの時間を削ってたくさんの面接を受け、メーカーに売り込んでいかなければなりません。
したがって、プロモーション活動などにも参加しないならば単体女優がAV女優として活動するのは月のうち4~5日ということも珍しくありません。
企画女優になると本数で稼ぐため撮影に多くの日数を費やし、さらに面接にも時間を割くこととなり、単体女優に比べてどっぷりとAVにつかることとなります。
これが、単体女優から企画女優に転身することでもたらされる変化です。
価値観の変化
AVに携わる時間が増えるだけではなく、価値観の変化も見られます。
単体女優であった時代には、単体女優としてのプライドを鼓舞し、プロ意識や自負を植え付けるために「企画女優とは格が違うんだよ」「ギャラが高いってことは女優としての価値も高いってこと、単体女優になれたのはかわいくて若いから」と教えられます。
当然、女優本人もそのような意識を持っています。
しかし、企画女優になればそれまでの常識を崩していかなければなりません。
ギャラは下がり、内容もハードになっていく傾向があります。
しかし、その代わりにキャリア、年功、場数、テクニック、専門性は向上していき、これらを武器に活躍の場を広げていく可能性も出てきます。
だからこそ、単体女優としてのプライドがそれ以降の活動を邪魔することがないように、「企画女優になったことは決して悪いことではない。場数を踏んでいけば、経験が豊富でスキルの高いベテラン女優としての評価を勝ち取ることができる」という自己評価に変化していくのです。
こうなれば、自己評価を高めていくためにより色々なジャンルの作品に出演し、場数を踏んでいくことによってキャリアを積んでいくことに励むようになります。
これが価値観の変化です。
これらの生活の変化と価値観の変化こそが、AV女優たちがAV女優であり続ける基盤を固めているものです。
AV女優になった理由は女優それぞれですし、中には特に理由などなくAV女優になった女性もいます。
しかし、それらの理由はいかにせよ、この変化を経ることによってAV女優としての自己を確立していくのです。
AV女優を経験した女性が性を商品化することの中毒性にとらわれてしまいます。
そのため、いつまでたっても体を売ることから抜け出せなくなることを問題視して「売春脳」などということもありますが、この原因の一つはAV女優としての基盤が固められたことにあるとも言えます。
この変化の中で、キャリアを積んでいくことに夢中になったAV女優たちは、プロダクションに強制されることなく、より広いジャンルの仕事を積極的にこなしていくことになります。
業界の事情を知らない人が「AV女優たちは過酷な撮影現場に無理矢理送りこまれて性的搾取を受けている」などと主張することがあります。
しかし、これは明らかな間違いでAV女優たちは自発的に撮影に挑んでいます。