プロダクションが重宝する「長持ちする女優」とは
プロダクションがAV女優に求めるものは多岐に渡りますが、なかでも重要な要素の一つとして「長持ちすること」が求められます。
「長持ちする女優」とはどのような女優なのでしょうか。
なぜプロダクションは長続きする女性を好むか
プロダクションがAV女優に求めるものは多岐に渡りますが、なかでも重要な要素の一つとして「長持ちすること」が求められます。
これは、プロダクションの利益を考えるとわかります。
プロダクションはAV女優を抱えるまでには、随時スカウトマンを雇うか、プロのスカウトマンを抱えている業者と契約して新人AV女優を発掘する必要があります。
スカウトマンたちは多数の女性に声掛けを行い、その声掛けに応じてくれた女性を面接します。
さらに宣材写真の撮影を行い、また更にメーカー面接を繰り返して出演を取り付け、出演料の一部がようやくプロダクションの利益になります。
利益を出すためにはこれだけの労力とコストがかかるのです。
このことから、長持ちしない女優をたくさんも抱えるよりも、長持ちする女優を数人抱えたほうが利益率は圧倒的にいいのです。
だからこそ、プロダクションは長持ちする女優を好みます。
また、付随する理由としては、活動期間が1年を超えるような女優になると毎回の撮影にマネージャーが付き添わずとも、仕事の段取りや現場での勝手などもよくわかっています。
そのため、プロダクションのマネジメント業務は非常に楽になります。
そこで浮いた労力を他の新人女優に回すことで、充実した教育を行うこともできます。
「長持ちする女優」は、当然のことながら活動期間が長くなります。
そして、活動期間が長くなれば、一部の例外を除いて単体女優として活動し続けることは難しくなります。
したがって、「長持ちする女優」=「単体契約が切れても企画女優として息を長く活動できる女優」のことです。
また、だらだらと活動期間が長くなっているというのではなく、活動期間が長くなっても精力的に活動してほしいというのはプロダクションの願いです。
プロダクションは無理やり引き止めたりしない
AV女優は、辞めたいと思っても引き止めが強くてなかなかやめることができず、徹底的に搾取されると思っている人は、上の内容を読むと納得したような気分になるかもしれません。
しかし、実際にはそのようなことはありません。
プロダクションはたとえそれが大手であろうとも、10人程度でたくさんの女優のマネジメントを行っています。
その為、その女優が超売れっ子でもない限りは、一人のAV女優が辞めたいといった時にあらゆる手を尽くして引き止めるような暇はないのです。
プロダクションは女優を強制的に働かせている事実も無ければ、強引に引き止めも行っていません。
これはAV女優自身がよくわかっていることです。
このことに関して、あるAV女優がこのように語っています。
AV女優がAV女優であることに関して、プロダクションの意思はほとんど介入することができず、表面上は完全に本人の意志です。
プロダクションは女優たちに長持ちしてほしいと願いつつも、プロダクションができることはアドバイスをして女優本人の選択を後押しするくらいのものです。
このことは、上記の「やる気があるなら企画の面接に行く?」のことばによく現れているでしょう。
筆者もこのような記事を書いている以上、可能な限りの情報収集をしてきましたが、AV女優を辞めたいと思っている女優を無理やり働かせていることはありません。
性産業に従事している女性の社会的地位が認められるようになってきた今、無理やり働かせたことで女性から訴訟を起こされでもしたら、そのことで受ける社会的制裁と損害は計り知れません。
プロダクションの戦略
しかし、プロダクションが指をくわえて見ているだけかといえばそんなことはありません。
なるべくながく続けてほしいというプロダクションの願望は形になって現れています。
例えば、以下の様な流れで現れています。
まず、単体女優のマネジメントの時には、少し企画を見下したような態度で単体女優に接します。
君はとびきり可愛かったからこそ単体になれたんだ。企画とは別格だ。
というように褒めますが、これは単体女優としてのプライドやプロ意識を植え付けるための戦略です。
しかし、そのように褒めた女優も、いつかは契約更新できずに企画女優として活動する時が来ます。
そのようなときに、以前と同じように企画を見下す態度で付き合えば、女優は嫌になってやめてしまうことでしょう。
そこで、新人単体女優と一緒に事務所に泊まる機会があれば
あの子はまだ新人でなにもわからないから、いろいろおしえてあげてね。
等と言い、次は経験が長くなってきていることに対する自尊心を植え付けることによってモチベーションを高めようとします。
この例から考えると、所属女優が単体女優の時には単体女優は一般的には企画女優よりヒエラルキーにおいて優れた存在であるという論理からモチベーションを高めるようにしています。
そして、企画女優になってからは女優の経験を重視しているのです。
とくに、単体女優に対するマネージャーのこのような語りかけは撮影現場などでもよく見られることです。
単体女優に撮影の流れなどを説明している時に、
あ、ここは企画の子がやるところだから、君は単体だからやらなくていいからね。
など、企画女優と単体女優を差別化して語ることによって、単体女優であることを意識付けるように働きかけています。
逆に、プロダクションの見解で「もうそろそろ、この子は単体女優としては厳しいだろう」と判断された場合には、企画女優になったことで落胆しないように、単体時代に重ねた経験や磨いた技術を重視して語るようになります。
企画女優になって活動を続けるうち、に、単体女優よりも企画女優のほうがいいと思うようになる女優は多いものです。
やはりヒエラルキーにおいては企画女優よりも単体女優のほうを上に位置づける風潮があり、単体女優から企画女優に転身することを「企画落ち」といって揶揄することもあります。
そのため、企画女優になった当初はAVを辞めたいと思う女性は少なくなく、プロダクションはこれの防止に務めるのです。
実際に数人のAV女優の言葉に耳を傾けてみると、単体女優から企画女優へと転身するときには
新人じゃちょっと出られない作品にでられるよ。
せっかくここまで経験を積んだのにもったいないよ。
これからは出演本数の規制がなくなるから、たくさん稼げるかもしれないよ。
などとマネージャーから言われたことを覚えています。
それぞれのプライドを発掘する
AV女優には本当に色々な女性がいます。
このような多面性を巧みに利用し、AV女優の自尊心を保ち、AVに対するモチベーションを上げるように後押ししています。
そのためのマネジメンの業務はとても大切なものです。
AV女優の価値が粗どこにあるのかを分析し、見出し、もし経験とともに価値が変わればそれを再発掘し、女優が気づいていない場合には価値に気づかせプライドを持たせています。
AV女優である可動化に限らず、自分の従事する仕事にプライドを持っている人は、そうでない人に比べて仕事に熱心になります。
苦難も乗り越え、長続きしていくことは当然のことです。
このことから、プロダクションのこの戦略は一見簡素なものに見えるものの、大変有効な戦略であると言えます。
何をプライドと感じているかは十人十色です。
例えば、新人単体女優がプライドに感じることといえば、単体女優であることそのもの、ギャラの高さです。
人気の企画単体女優ならば知名度や人気の秘訣となるもの(スキルや容姿など)、ベテラン女優ならばその地位に至るまでに積み重ねてきた経験と技術などです。
また、最初はギャラや可愛さに誇りを持っていた単体女優が、企画女優になって活動を続けていくうちにNG項目が減ってきたならば、汎用性の高さを誇りと思うようになるものです。
これを素早く察知して刺激するようにするのです。
このように、AV女優がなぜAV女優をやっているかという理由の背景には、プロダクションが価値を見出し誇りを認識させてくれることも確実に一つの要素になっています。
したがって、AV女優自身が長持ちする女優であろうと努力することは大切なことですが、あまり気張ってそのような意識を持つことがなくとも、プロダクションの方針をしっかりときいて活動し、いろいろな仕事を忠実にこなしていれば、プライドは自然と構築されていくものであるといってもよいでしょう。
単体の契約が切れた時、マネージャーは『やる気があるなら企画の面接に行く?』という感じでした。
あくまで私のやる気次第って感じで、企画としてやっていけみたいな雰囲気は全然なかったです。